呪いや祟りが現代より過信されていた平安時代にて実在した呪術使いこと陰陽師・安倍晴明をモデルに、奇怪な変死事件の謎を解明するファンタジー時代劇。
VFXの出来が素晴らしい。本物味がある。生成された全ての現象に命が宿っていた。燃え盛る炎も流動する水も生きているかのような動きだった。本作の設定では「呪術=思い込み」であり、劇中の登場人物たちが思い込みをしてしまうのが納得するほど本物味がある。設定に負けていない。
舞台は平安時代だが、物語は意外にも現代的。本作で登場する多くの人々が「呪術を盲信している」ことは現代で言うなら「誰かの発言や書き込みを鵜呑みにしている」ことに近いし、「生まれ持った身分で人生が決まる」というのも現代における格差社会でも未だに残っている。また、本作の「呪術=思い込み」という設定からは、見えるもの聞こえるものだけを盲信してしまう現代社会を風刺してるように思える。そんな中、山崎賢人さん・染谷将太さん・奈緒さん演じる3名の登場人物が見えるもの聞こえるものを押し除け、見えもしない聞こえもしない自分たちの心を信じて心と心を結び付ける行動は現代人に必要な心得に思えた。
⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐
演出・映像 :⭐⭐⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐
設定・世界観 :⭐⭐⭐⭐
星の総数 :計16個