彼が言うように、人生は点と点を移ろうように進むものだが、必ずしも前進しているとは限らない。これは不安定な少年の、"ここ"から"ここ"への物語。
アリーは薄汚ないニューヨークの裏側で見向きもされずに殴り書きをする。
“ALLIE TOTAL BLAM BLAM!”
彼は自分がアウェイであることを知っているが、かと言ってそれはアウトサイダー達の受容を意味している訳ではない。母にすら受け止めてもらえぬ行き場のない孤独は16歳の少年にとってはあまりにも手に負えないものだっただろう、彼は街を捨て、永遠の旅人となる決意をする。
彼の孤独は街を離れる際に一瞬だけ他の少年の孤独と接点を持つのだが、それがせめてもの救いとなれば良いと強く願う。
終わりなき旅も結局行き着く先は同じかもしれない、だが16歳という危うい時間はそうやって進んでいくものだと私は思い出した。