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帰ってきた あぶない刑事のLCのネタバレレビュー・内容・結末

帰ってきた あぶない刑事(2024年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

楽しかった。

定年退職して探偵になってた筈だけれど、「刑事」と題されている通り、港署の彼らが帰ってきてた。

今までの作品で最も心情に寄り添いやすかったように感じる。たぶん、思い出もそうだけれど、2人だけじゃなく周囲の人たちの気持ちを丁寧に描写する場面が多いからかなと思う。因縁もわかりやすいし。
特に1作目を見た時に感じた「あ、誰かに共感する暇もなくポンポン進むぞ」的な特徴が一層影を潜めた印象が強い。
前作の「さらば」もその傾向はあったのだけれど、本作の方がじんわりじっくり噛み締められる気がする。

OPムービーが始まって驚いたのは、色彩が「記憶の中のあぶデカ作品」と近い気がしたこと。
明度の問題なのか詳しいことはサッパリなのだけれど、「新しいものとして過去の作品とは第一印象が異なる」といったことがなかった。懐かしいな、と瞬時に感じられるような、そんな色彩。文字と背景の色のバランス。
その上で、今の彼らを見せてくれたことが嬉しい。時間の流れを感じられるのは、とても贅沢。
新しい景色もたくさんあった。
特に探偵事務所が好き。半世紀くらい引きこもりたい。ソファの上で頭にキノコ生えるまでゴロゴロしたい。居心地が良さそうな空間。

再会できて嬉しい景色も、勿論ある。
後輩くんはちゃんと武器商人の素質を持ち続けていたし、何だか馴染みのある車も登場するし、1代目の男上司さんはフラッシュバックするし、台詞のひとつひとつもクスッとできる。
だからこそ、後輩くんに頼む時の台詞が脳裏に自然に過ぎったりする。
結婚に燃える彼女は、出会い系アプリを使ったりするかなあと予想していたのだけれど、もっと的確に貪欲に確実に網目を張っていた。侮ってました…

今作は敵さんたちも、物語にとって素敵なスパイスになっていた印象。
初めましてなのに、当たり前に「お互い古い顔馴染みです」感出してくる。ドラマの方には出たことがあるのかな。そう思えるくらいの間柄描写。
2人にとって初めましての人も出てくるけれど、その人もちゃんと存在感がある。
今までの敵さんに多かったのは、話すよりも銃でバババババババするし肉弾戦も任せろな感じの人、という印象が強い。ちゃんとそういう人も出てくるから、そこでも懐かしさを覚える。

ダンディさんて、特に前作と前々作では悲しい見送りをした姿が個人的には新鮮だったのだけれど、今作では笑顔の見送りになったようで素直に嬉しい。
そして映画1作目とかで、情報提供者さんが亡くなった時、「早く車に乗れ」と急かされる程ショックを受けるのはセクシーさんだったと思うんだけど、そんな彼のそういう場面での強い悲しみをハッキリ見ることができたことも嬉しい。
あんまり記憶に自信はないけれど、「ショックを受ける」描写が一瞬で終わったことはしっかり覚えている。
セクシーさんの、女性を想う気持ちから生じる心の叫びを、初めて見られた気がする。
でも、結局誰が血の繋がった父親であるのか、わからなくて良かった。わしにとっては、わかる必要がないように思えたから。
お互いに大切に想い合えている。それだけで十分。

舞台挨拶、楽しく過ごせた。
生中継で覗き見勢だったけど、拍手もしちゃったし手も振ってしまった。横浜には届かないのに。
でも、みんなが笑っていたり、お互いに言葉を交わしたりするところ見て、自然に「ありがとう」と思えたんだ。
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