CHEBUNBUN

もっと遠くへ行こう。のCHEBUNBUNのネタバレレビュー・内容・結末

もっと遠くへ行こう。(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

【モラハラの奇妙な連鎖】
動画版▼
https://www.youtube.com/watch?v=gG-0pIHCsR0

先日、Amazon Prime Videoに『もう終わりにしよう。』原作者の新作『もっと遠くへ行こう。』が配信されていたので観た。AIを用いたSF映画だったのだが、モラハラ夫のいやらしさを表現するギミックとして使われていたのが興味深かった。なお、何を言ってもネタバレになるのでネタバレ記事とする。

とある一軒家しかない田舎に男がやってくる。地球のリソースが枯渇し、宇宙移住プロジェクトが行われる中で実験台に選ばれたのだ。しかし、選ばれたのは夫ジュニアだけであった。本作はモラハラ男の気持ち悪さを全面に押し出した作品である。男が宇宙移住プロジェクトの話をする際に、自分の狼狽を隠すように「妻が怖がっている」と語る。宇宙へ行く日が近づいてくると、彼女の職場であるダイナーに押しかけ「君の足音とかが恋しいんだ」と言い放ち、自分の欲望によって彼女をコントロールしようとするのだ。一方で、普通の生活を見ていると明らかに倦怠期で空気が重い。都合よく、彼女は消費され奥なる存在へと押し込められているのである。本作が凶悪なのは、彼はジュニアのクローンであるということだ。ジュニアが地球へ帰還し生活が再開するのだが、ヘンはストックホルム症候群的な形でクローンであるジュニアに依存しており、本物のジュニアによるモラハラが始まるのだ。あまりに強烈な負の連鎖にノックアウトしたのであった。
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