【アンチハリウッドミュージカル】
鬱映画、胸クソ映画の代名詞となった本作であるが、セルマが映画館で『四十二番街』を観ている場面があることから、1930年代ミュージカルの批判になっていて興味深い。現実逃>>続きを読む
【政治的斬り捨てに肉体的痛みを】
中学時代に観た時には、何言っているのかよく分からないイメージでしたが、再観してみたら面白かった。要は、政治的に斬り捨てられる者の怨念を携え、肉体的痛みでもって復讐する>>続きを読む
【痛みを感じなくなった世界で】
クローネンバーグ監督はボディ・ホラーの巨匠と言われるが、形而上学から現在〜未来の生活様式を考察するタイプの監督だなと最近思う。『コズモポリス』を再観したのだが、ロバート>>続きを読む
【夢にまで広告が紛れ込む世界】
ピンク色の空間で男がいる。やがて夢が醒めると、薄暗い部屋となる。男はメモリチップをコンピュータに差し込み夢を再現する。2035年、人々の夢は政府によって管理されている。>>続きを読む
【権威に絡め取られる女性】
Netflixのナイジェリア映画を集中して観ていると、女性が結婚至上主義やハラスメントに立ち向かう作品が少なくない。『アービトレーション: 交差する視点』、『ナマステ・ワハ>>続きを読む
【前作が微妙だったので...】
Netflixのナイジェリア映画。前作がかなりつまらなかったのだが、続編も同様。遺産を巡る痴話喧嘩を延々と魅せられる。ただ、家族が一丸になる様子を一つの画で表現する構図>>続きを読む
【バスガイドは森の番人に出会った】
Pelin Esmer監督作。森を監視する男と妊娠しているバスガイドが出会い、子育てをする話。トルコの美しい風景の撮り方がバキバキに決まっていて惹きこまれた。Pel>>続きを読む
【破らなきゃいけないルールだってある】
私の青春の映画『トップガン』の続編『トップガン マーヴェリック』が遂に日本公開される。気分を盛り上げるために久しぶりに再観しました。
鐘のような反響の中、19>>続きを読む
【撃っても、やったと思っても】
2022/7/15(金)より公開の『炎のデス・ポリス』。警察署の中というワンシチュエーションで起こる壮絶なバトルロワイヤルを描いた作品とのこと。この度、キノフィルムズさ>>続きを読む
【ヴォイチェフ・ヤスニー特集開催してほしいな】
『猫に裁かれる人たち』のヴォイチェフ・ヤスニーがカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した作品。相変わらず、人の動かし方が面白く、冒頭の合唱シーンにおける人の配>>続きを読む
【猫がメガネを取ると、アカ、アオ、キイロ、キレイ!】
カンヌ国際映画祭シーズンなのでEastern European Moviesでコンペティション部門に選出された東欧映画を追っている。その中で『切腹>>続きを読む
【漫画的カットの反復について】
ワーナーの漫画原作映画は毎回警戒する。前作がしょっぱい出来であった『鋼の錬金術師』実写化がるろ剣と同じスタイルで2部作公開となった時、一抹の不安がよぎった。Twitte>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
【クズ鉄工場のクズたちはクズ哲学で修羅場を切り抜けられるか?】
何言ってもネタバレになるヤバい映画だと評判だった『夜を走る』を観にシネマート新宿に行ってきました。序盤こそ、よくあるインディーズ映画かな>>続きを読む
【このアニメは血と涙でできている!】
アニメ業界を描いた辻村深月の同名小説の映画化『ハケンアニメ!』が公開された。漫画業界を描いた『バクマン。』の映画版が好きな私にとって、同じ面白い香りを感じたので観>>続きを読む
【トップダウンによる理不尽さ】
小林正樹監督は『人間の條件』しかり『切腹』しかり、日本の組織の問題点を語るイメージがある。『上意討ち 拝領妻始末』も例に漏れず、日本のトップダウン組織の辛さを描いた作品>>続きを読む
【バズビー・バークレーに愛を込めて】
『ラ・ラ・ランド』が『巴里のアメリカ人』の御都合主義なエンディングへの批評となっていたこと同様、ダンサー出身監督ハーバート・ロスの『ペニーズ・フロム・ヘブン』もミ>>続きを読む
【虚無に生きる者が生の手触りを感じるまで】
2022/6/4(土)より池袋シネマ・ロサにて公開の『ある惑星の散文』を夢何生さんのご厚意で一足早く拝見しました。本作は、濱口竜介監督『偶然と想像』の助監督>>続きを読む
【転生したらハーレムでした】
転生したらハーレムでした系ポーランドSF映画。男女立場入れ替えた点から男性の優位性を分析していくアプローチが取られており、荒唐無稽ながら鋭い映画となっている。冷却カプセル>>続きを読む
【2024年は伝染病で...】
1960年の人が考えた2024年を覗いてみた。伝染病により、人類は不妊。言葉が話せなかったり、ミュータントになってしまう世界であった。試験飛行中にこんな未来にやってきた>>続きを読む
【ウサギ好きは観ない方が良いです】
ジェリー・ルイスが日本に来る話。ウサギが大活躍する映画で、飛行機内で乗客を物色する場面なんかは好きだが、ウサギを温泉や沼に浸からせるシーンがあり、ちょっと受け入れら>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
【新ではなく、Sinなる世界】
2016年『シン・ゴジラ』から始まったある種のオトナ帝国プロジェクト「シン」シリーズ。この日本語ならではの「シン」の用法を発明したことは未だに慧眼だと思っている。「しん>>続きを読む
【あなたは耐えられるか?ウナギのような敵に!】
5/11(水)よりレンタル開始となった雨の時期にぴったりなサスペンス映画です。
詳細はcinemas PLUSにて寄稿しました。意外にもポスターヴィジ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
【JackassはYouTubeに座を奪われたのか?】
映画史が始まって以降、舞台やサーカスでは魅せられないスペクタクルのあり方が模索されてきた。バスター・キートンは、機関車の先頭に乗りながら障害物を>>続きを読む
【ヨコハマ・フットボール映画祭2022:弱肉強食の世界】
第94回 アカデミー国際長編映画賞スウェーデン代表作品。インテル・ミラノと契約し、イタリアへ渡ったものの鬱病を患い、引退したマルティン・ベング>>続きを読む
【癒しを与え、悪を与え、操る男】
自分は映画評論家や映画ライターよりも、非映画系動画配信者が突然語る映画話を参考にすることが多い。それは、映画を軸にしている人から出てこないような感想が浮かび上がったり>>続きを読む
【冒頭の悪夢シーンに注目】
Netflixのナイジェリア映画。実話を基にした作品で、1976年のクーデターに関与した疑いで逮捕された男と妊娠中の妻の引き裂かれる思いを描いた作品。Netflix配信のナ>>続きを読む
【糸で過去と疎通を取るよ】
『The Summer of Sangailė』Alanté Kavaïté監督作。死んだ母の記憶を辿るため、部屋に糸を張り巡らさせ、過去の音と通信を取ろうとする奇妙な作品>>続きを読む
【全編イランロケの骨太アクション】
これほどまでに無茶苦茶な漫画の実写化はないだろう。さいとう・たかをの人気コミックを監督・佐藤純弥、主演・ 高倉健で映画化した作品だが、まさかの全編イランロケを敢行し>>続きを読む
【制度の前に広がる無力さ】
第72回ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門に出品されたクルド人難民を描いた作品『マイスモールランド』が公開された。本作は、布陣が凄まじいこととなっており、製作に是枝裕和>>続きを読む
【俺は象を撃ちたいんだ!】
GW、バカンス映画を観たいと思い、おもむろにクリント・イーストウッド『ホワイトハンター ブラックハート』を観ました。これが壮絶な映画であった。
馬がダイナミックに駆け抜け>>続きを読む
【圧力かける男は母性を求める】
第74回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞し、第22回東京フィルメックスでも上映されたものの、賛否が真っ二つに分かれた『アヘドの膝』。映画仲間の間でも、極端に拒絶反応を示>>続きを読む
【壮大な後始末】
エンドゲーム以降、ディズニーのビジネス手法への幻滅もあってか、MCUへの関心が薄れてしまい気乗りがしなくなってきたのだが、『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』の監>>続きを読む
【私をパーティに連れて行って!】
クレール・ドゥニのテレビ映画。パーティへの憧れと、いざ行けども中に溶け込めないもどかしさ、楽しくも切ない空気感が好き。サントラがかなり良いので、映画館で観たら楽しいと>>続きを読む
【囚人たちの「ゴドーを待ちながら」】
2020年のカンヌ国際映画祭オフィシャルセレクションに選出され、同年ヨーロッパ映画賞ヨーロピアンコメディ作品賞受賞したフランス映画『アプローズ、アプローズ! 囚人>>続きを読む
【僕の最初のお仕事は「死」を撮ることだった。】
第12回 TAMA NEW WAVEでグランプリとベスト男優賞(澤田栄一)の二冠に輝き、第33回東京国際映画祭(2022)に出品された『初仕事』が202>>続きを読む
【真実は背負っている命で書き換えられる】
第74回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したものの、盗作疑惑で騒動となっているアスガー・ファルハディ。内容が、あるきっかけで英雄からペテン師に堕ちていく男の>>続きを読む