ブルーノ

空飛ぶゆうれい船のブルーノのネタバレレビュー・内容・結末

空飛ぶゆうれい船(1969年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

 噂には聞いていたが、ここまで社会の暗部をえぐり出す作品が、子供向けアニメとして作られていたことに驚いた。黒幕ボアを操る真の黒幕が示唆された上での未解決なエンディング(隼人たちの中では解決している)や、お国のための特攻精神の否定など、本当にやるべきことをやっているなと感動した。

 また、隼人少年のくどいくらいのモノローグでは、プロパガンダに踊らされずに真相にたどり着く思考プロセスが描かれており、はじめてモノローグ演出の有効性を感じたりもした。

 個人的には、ボアジュースの件が劇中CMの中毒性含めてとにかく恐ろしく、当時の子どもたちには相当なショックを与えたに違いないと思った。何気なく購入していたジュース通して、ボアの悪行に自分も加担していたんだと、子どもに加害者意識を自覚させる演出にも驚いた。

 最後に、幽霊船が音を立てずにボアの見張りから隠れる場面は、『マトリックス』でのセンチネルから隠れる場面を彷彿とさせた。ボアの基地から登場した巨大ハマグリは、核汚染を浄化させるほどの科学力を持つ組織の存在の示唆なのかなと思った。
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