ボム

奇跡の子 夢野に舞うのボムのレビュー・感想・評価

奇跡の子 夢野に舞う(2024年製作の映画)
4.2
北海道の長沼町という農村を舞台に、消えてしまった鶴(タンチョウ)を呼び戻そうと奮闘する人々を追った映画。

ドキュメンタリーなので、当然役者などは出演しておらず、派手な演出などは無い。だが逆にそれが良い。リアルであり、農家の方の本音や葛藤がダイレクトに伝わってきます。

長い年月をかけ、失敗を繰り返し、人間と自然の生き物が共存する世界を必死に実現させようとする姿に感動しました。専門家から絶対に不可能だと言われ大勢の前でボロカスに言われても、挑み続ける姿勢に涙しました。減っていく子供達、廃校になる学校、そんな子供達にタンチョウを見せたいという強い思い。

映画では自然の生き物を呼ぶことは、農作物にダメージを与えることだとしっかり描いています。農家には死活問題であり、良いことばかりではなく、デメリットもあるのだ。人間が歩み寄らなければ我々はただの破壊者になってしまうと考えさせられる。

この映画は物凄い長い時間を掛けて撮られています。北海道テレビのドキュメンタリー番組にその後を追加したものですが、製作陣の愛情が伝わってくるくらい丁寧に作られています。そして音楽も素晴らしいです。こちらの感情に寄り添うような音楽。上白石さんのナレーションも素晴らしかった。

文科省や環境庁の推薦映画と認定されているようですので、是非子供達にも何か感じ取って欲しいです。
泣かせるような演出は一切ないのですが、不思議と私は何度も涙してしまいました。小さな映画ですが、とても良い映画でした。
ボム

ボム