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ストップ・メイキング・センス 4Kレストアのqueririrrrのレビュー・感想・評価

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その場にいる全員がものすごく「音楽」してた。バンドメンバーもサポートメンバーも、最初は座っていたが徐々に立ち始めて踊る観客も自分が思うがままのような動きをし、全員が全身で音楽を受けとってアーティスト側はふたたび音楽を生み出しながら楽しんでいる中でただひとり、フロントマンのデヴィッド・バーンだけがどこかぎこちなかった。ステージ上でのその感じは本人の意図した動作なのだろうけど、そういえばトーキング・ヘッズの音楽は高度に洗練されているのにどこかぎこちなさや心地の悪さがあって、自分はそのバランス感覚がすごく好きだったんだった。
また"STOP MAKING SENSE(意味づけをやめろ)"と名付けられた映画にこういった感想を抱くのはかなりナンセンスかもしれないが… 昨今は社会そのものが社会に生きている人の言葉や態度のひとつひとつに意味や意義を求めている風潮を感じて息苦しい感覚がある(それはコスパやタイパのような概念に対して感じる疲弊感に似ている)が、『ストップ・メイキング・センス』では目の前で展開される物事に対して何か考えたり意味を求める前に、ただただ身を委ねて躍動することの愉しさが炸裂していた。とても良かった…
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