キヨ

ピアノ・レッスン 4Kデジタルリマスターのキヨのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

 とにかく The Heart Ask Pleasure First が好きすぎて、流れるだけでかなり感情が高ぶってしまうんだよな。
 もうとにかくホリーハンター演じる主人公のエイダが良すぎる。意思の強さが一挙手一投足に表れていて、もうほとんど劇中すっと泣いてた。

シングルマザーのエイダは、娘とともに未開の地であるニュージーランドへ嫁ぐ。話すことができないエイダにとってピアノは自身を表現するためのものであり、欠かすことのできない体の一部であった。当然嫁ぎ先へも持っていくのだが、到着した海岸から屋敷までは悪路であり、とても運べないと、旦那であるスチュアートに運搬を断られる。エイダは毎日娘と海岸へ通いピアノを弾く。その姿に心打たれた原住民との懸け橋的役割を果たしていたベインズは、スチュアートにピアノと土地を交換することを提案。自身の家にピアノを運び込み、ピアノを習いたいという名目でエイダを家に呼ぶ。黒鍵の数だけピアノを教えに来てくれたらピアノを返すという交換条件のもとエイダはスチュアートの家に通いピアノを弾くことに。次第に二人は心惹かれあい深い仲になるも、関係がスチュアートにばれてしまい……。
 
 エイダが、スチュアートに自身の思いを伝えるためにピアノの黒鍵を外すシーンがもう言葉に詰まるほど良い。当初嫌悪すらしていたスチュアートに体を触られるのを我慢してまで取り返したかった、ともすれば自分の命よりも大切にしているピアノを壊してまで、スチュアートに伝えたい思いがあるのかと思うと涙が止まらなかった。本当にホリーハンターの演技がすごい良くて、始終不機嫌層というか、笑顔どころか穏やかな顔さえ子供の前以外では示さないくらい、かたっ苦しい表情しているんだけど、それがいいんだよな。未開の地に放り出されて、どう考えても歓迎されていなくて、でもここで耐えてやる、ピアノさえあれば耐えられるって、線の細い不健康そうなくらい色の白井小柄な女性が、強い瞳をして背筋を伸ばして立っているのが泣ける。当たり前だけど、再上映される作品ってやっぱりそれだけすごい作品なんだよなと改めて実感した。
キヨ

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