日下勉

フジヤマコットントンの日下勉のレビュー・感想・評価

フジヤマコットントン(2023年製作の映画)
5.0
山梨県甲府市にある障害者福祉サービス事業所「みらいファーム」
この施設の一年を施設で働く障害者たちに密着したドキュメンタリー。ナレーションは一切無く、それぞれの障害者たちのテロップが簡単に出るだけ。それでも朝の体操から、あるものは花を育て、またコットンから紡いだ糸で布を織り、絵を描いたり、写真を撮ったり、畑仕事をしたりとなかなかに忙しい。そんな仕事を通して見ると個性的で魅力的、観てて飽きない。ある一人は「恋愛しても良いのかな?」と言っては直ぐに失恋したり、仲良くしてたスタッフが居なくなって孤独に沈んでいたものが、次第に元気を取り戻して行くとか、当たり前のことだが障害者もわたしたちと変わらないのだと、じんわりと身に沁みてわからせてくれる。
この映画の終わり近く、一人の障害者が監督に「仕事って何?」と問いかける、答えに詰まる監督に「仕事は人を幸せにすることだ」と言う。このシンプルさこそ、この映画の芯だと思った。
青柳監督は前作の「東京自転車節」もそうだったが、目線が低く対象との距離感が近い。
傑作というより、ずっと身近に感じていたいそんな宝物のようなドキュメンタリー。
日下勉

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