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ヴァイオレット・エヴァーガーデン 特別編集版のCinemaUpperのレビュー・感想・評価

5.0
かつて戦場を烈情の炎で駆け抜けた殺人人形が、終戦を得て平和の世で恋と人と自分を取り戻していくロードムービー
恩師と共に両腕を吹き飛ばされたヴァイオレット。息を呑むフォルムの義手は彼女の人ならざる冷徹さと数ある人を殺めた業を背負う十字架を意味する

京アニの数ある最高傑作の一つにあたる、欧風SFファンタジーの総集編。脚色能力も日本最高峰な京アニなので、その魅力の摘み取り方も大胆で超感動的に仕上げる匠の技

初見の第一印象は“何か心療内科のカウンセリング診てるみたい…”
兎に角、初期のヴァイオレットちゃんの感情の死に具合が生々しぃ。人格障害を起こした戦争孤児が手紙代行業と云う最も不釣り合いな職業に出合い、周囲や顧客の激烈な喜怒哀楽を処方されていく内、“愛を知る自動手記人形”に成長して行く

伝説の第十話を何とまぁ贅沢に使った作劇だが、あの“普遍的なシチェーション”は作者が手紙という媒体を通じてヴァイオレットに贈れる最大のプレゼントだったのかも知れない

ラストでみせた彼女の大いなる“目覚め”はその後の奇跡への旅路へと繋がっていく……
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