仮定

ハルモニアの仮定のネタバレレビュー・内容・結末

ハルモニア(2024年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

一ノ瀬颯さん演じるよしあきが、俳優として演じることに関するインタビューに応じる場面から物語は始まる。

回想のような感じで物語の中盤、工藤遥さん、ヒコロヒーさん、山崎樹範さんが演じるよしあきの仲間たちが出てくる。どういった関係性なのか詳しい説明はないが、気の置けない友人たちというような感じ。3人はそれぞれの人生を歩む中で、仕事、出産や子育て、セクシャリティに関することなど各々が不安に感じていることがあり、あることをきっかけに本音をぶつけ合う。何事もわかりあえる仲間だと思っていたはずが、それまで知らなかった一面があったことを知る。その場にいたよしあきは、そんな仲間たちの姿を見て感じたことをインタビューの中で答えていくというシーンに戻ってきてエンディングへ。

冒頭のインタビューシーンにあったよしあきの「人は自分以外の人と関わるとき、少なからず演じている。でもそれは嘘をついているということではなくて、相手との関係性だったり、今置かれている状況であったりを思いやって受け入れたり、嗜めたりすることだと思うので、とても優しいことですよね。」というのがまさにこの映画を象徴するセリフだと感じました。

HARMONIA(ハルモニア)とはギリシャ語で「調和」の意味。英語で言うとHARMONY(ハーモニー)ですが、音楽では高さが違う音を同時に出して音楽的効果を生み出す現象のこと、転じて様々な異なる人たちがともに生きる空間を共鳴しながらよりよく生きていくことを描いた作品なのかなと思いました。社会は多様な個人がお互いに関係性を持つことで形成されており「多様性を尊重しよう」と叫ばれる世の中で、この話題に無関係な人は誰ひとりとしていないということを考えさせられました。

また普段は芸人として活動されているヒコロヒーさんの演技力が本当に素晴らしいです。声や表情、セリフの間の取り方、他の俳優さんの中で浮くことなくゆり姉を演じていらっしゃいました。他の映画やドラマ作品も拝見しましたが、どんな役をやっても見ている人の心にスッと入ってくるような演技に心を掴まれます。
仮定

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