このレビューはネタバレを含みます
手を繋いでまるくなったら、
すべてのことをわかり合えるなんてことはなくて。
わかるのはせいぜい体温と手汗くらいなもので。
でも、だからこそ繋いでいたくなるんじゃないか。
この人の今まで知らなかった面をふとした瞬間に知れたり、
あるいはその人がいなくなって初めて知る面もあったり。
そんな瞬間に底深い孤独を感じるから、
人は手を繋ぐんじゃないか。
わがままなもので、
一緒にいると時にそのまるがいびつになったり、
棘を刺し合ったりもする。
でも、なぜだかいつのまにか誰かがでこぼこをまるに戻したり、
棘をすっと抜いてくれる。
彼らの小さな小さな世界は、調和―ハルモニア―が保たれ、穏やかで優しさに満ちている。
監督・脚本の千葉さんが常日頃伝えてくれるメッセージがふんだんに散りばめられている作品。
陽だまりのような物語でした。