MasaichiYaguchi

パレードのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

パレード(2024年製作の映画)
3.7
藤井道人監督が長澤まさみさんを主演に迎え、この世から旅立った人々から残された人々への思いをテーマに描いたオリジナルの本作は、能登の復興への願いと共に喪失感を癒してくれるようなストーリーを展開する。
瓦礫が打ち上げられた海辺で目を覚ました美奈子は、離ればなれになったひとり息子の良を必死に捜し始める。
道中でアキラという青年や元ヤクザの勝利、元映画プロデューサーのマイケルらと出会ったことで、自分が既に亡くなっていること、未練を残して世を去った為に、未だ“その先”に行くことが出来ずにいることを知る。
そしてアキラたちもまた、様々な理由でこの世界に留まっていたことが分かる。
現実を受け止めきれない美奈子だったが、月に一度死者たちが集い、夫々会いたかった人を捜すパレードに参加したことを切っ掛けに、少しずつ心が変化していく。
群像劇とも言える本作は、旅立ってしまった人の目線で遺された人への想いを、母の息子への愛、父と息子、恋人への想い、女子高生の友情、そして若かりし頃の記憶を辿るという5つのエピソードで描いていく。
それらの物語からは「残した想いは、誰かの希望」というメッセージが伝わってきます。