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シド・バレット 独りぼっちの狂気ののーのーのレビュー・感想・評価

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大槻ケンヂと坂本慎太郎と石野卓球がコメントを寄せていたので観ないわけにはいかなかった。シド・バレットの事は何も知らなかったけど、ハワード・ヒューズや寺田ヒロオのように優れた文化芸術を残しながらも寂しい晩年を過ごした人には惹かれるものがあるので、興味を持って観た。
インタビュアーもシドの関係者であることもあり、インタビューがとても親密で打ち解けた雰囲気なのが印象的だった。ざっくばらんにエピソードや各々の感情が語られることで、彼の人生が多義的なものだと感じられた。
シドの内面世界で何が起こっていたのか誰も知る由もないのだけど、彼の存在感の大きさとは裏腹に彼を取り巻く物語はとても小さくささやかなもので、だからこそグッときた。シドへのトリビュート作を録音している最中に本人が来た時のエピソードは胸が締め付けられるようだった。劇的なドラマが起こりうるタイミングで心がすれ違ってしまうことに、フィクションではなかなか味わえないリアルな人間の奥深さを感じた。
鑑賞前後にシドのアルバムを一通り(といってもピンク・フロイド時代含めて4枚だけど)を聴いてみたら、意外にも優しくてかわいい音楽で、シドへの親しみがより増した。
ナレーションがジェイソン・アイザックスだった。
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