主演とヒロインの怪我で撮影が延びに延びた今作。
崔洋一、宮藤官九郎、松山ケンイチで『カムイ外伝』。
果たしてこのへんてこな組み合わせが、いい化学反応を起こすのであろうか?
鉄の意志を持ち、見事な剣の腕前を持つ忍者カムイ(松山ケンイチ)は、おきてにがんじがらめにされた忍びの世界に閉口してそこから抜け出す。かつての仲間、大頭(イーキン・チェン)やミクモ(芦名星)はそんな彼を裏切り者とみなし、執拗(しつよう)にその後を追う。ある日、漁師の半兵衛(小林薫)を助けたことでカムイはその家族に歓迎されるのだが・・・。
CGというのはとても便利である。
子供のころ『クリフハンガー』でスタローンが友人を吊り橋から落としてしまうシーンを見たとき、ハリウッドは映画を作るためなら人も殺してしまうのか、と驚いたのを憶えている。
『カムイ外伝』はCGがてんこ盛りの映画である。
だがこのCG、かなりお粗末な出来でびっくりするほどクオリティが低い。
何故ここまでCGを使うことにこだわったのかがまったく理解できないほど、不必要だと思われるシーンでも多様される。
実は『カムイ外伝』はCG以外はかなり頑張っている。
漁村のオープンセットは豪華であるし、村民の衣装、メイクも徹底している(全員が日焼けしているなど)
CG以外の部分には監督崔洋一のこだわりが随所に感じられる。
アクションも中々のものだ。
ほぼ初めてといっていいアクション映画で、主演の松山ケンイチは堂々とした殺陣を披露している。
しかしだ。
ワイヤーアクションなど、CGが絡んでくると途端に失速してしまう。
アクション自体が失速するのだ。
お粗末なCGのおかげで、肝心の役者の芝居、物語にまったくと言っていいほど入っていけないのだ。
CGとは便利なものかもしれない。
けれどその使い方をきちんと熟知していないととんでもないことになる。
もしCGがなければあるいは崔洋一の言う冒険活劇になっていたかもしれない。