たく

ジョイ・ラック・クラブのたくのレビュー・感想・評価

ジョイ・ラック・クラブ(1993年製作の映画)
4.4
思いのほか、引き込まれて観た。
良かった...。

ハリウッド映画なのに、アジアの繊細さが全編に流れているのがいい。
アジアの女性は、と一概に規定できないが、自分自身を抑えて夫や他者を立てる文化のなかで生きてきている傾向にあると思う。

その窮屈さやしがらみから離れアメリカに渡った四人の女性たちが、娘たちに彼女たちなりの言葉で、いかに女性が生きるべきかを教えている。
そのフレームが面白い。

ともすると、古い因習を抜け出した女性が、古い生き方をぶっ壊せ、と、なりちだが、この映画は違う。
四人の母親にそれぞれ、違う生き方を語らせているのだ。
特に印象に残ったのは、主人公ジューンの母親が、カニ料理を囲んだ仲間とのパーティーで、娘の仕種をさりげなくみていて、娘にこう語ったシーンだ。
「あなたは形の崩れた小さなカニを選んだ。みんなは最高のものを選ぶ。でもあんたは違う。あんたは心が最高だから」
何だか泣けた。

それぞれの母親が、人生を通してしった、尊厳をもった女性の生き方を、娘たちに教えていく。いや、女性の生き方に留まらない、人間としての生き方を語りかけていく。
だから、男の自分がみても、決して狭い話しに見えなかった。
娘たちにとっては、時に毒母にも見えていた母親たちが、誰よりも深く我が子を見つめている。その事に娘たちが気づいていく四つのカタルシスが積み重なって、オムニバスのストーリーなのに最後は見事に一つの感動に昇華していく。

隠れた良品です!
たく

たく