プライ

ANORA アノーラのプライのレビュー・感想・評価

ANORA アノーラ(2024年製作の映画)
4.5
御曹司と結ばれたストリップダンサーが辿るシンデレラ・ストーリーとその後を描いたコメディ・ドラマ。

メッチャ爆笑できる。だが同時に、主人公の苦しみや悲しみといった感情も伝わってくる。つまり、相反する感情を一挙に受信できるという凄いバランス感覚を持った作品。

前半は、よくあるシンデレラ・ストーリー。使い古されたストーリー展開を俳優陣の好演と色鮮やかな演出でエネルギッシュに表現し、ジェットコースター・ムービーに仕立て上げている。それだけでも十分に面白いが、本番は後半。本作の凄さは後半から頭角を表す。前半と打って変わって主人公の転落劇へと変貌するのだが、主人公の負けん気&周囲の人物たちのバカっぷりがユーモアを醸成し、お笑いグループのライブを観てるようなコメディに仕立て上げている。だが同時に悲劇として、主人公に内包する感情を繊細に描き出している。爆笑できるコメディを提供すると同時に主人公の苦しみと悲しみが伝導しており、相反する感情を一挙に受信できるのは相当なバランス感覚を持って制作されたことに他ならない。それが本作の凄いところ。さらに終盤では、今を生きる人々へ向けた優しさで溢れ返る。本作は、人間が平等に持つ様々な感情を大いに刺激する作品であり、そういった観点からアカデミー賞に相応しかったのかもしれん。

後半からのコメディ劇において、ユーリー・ボリソフが良い味を出してる。皆がワイワイする中、スルッと1人でボケ始める姿は東京03の豊本さんっぽい。


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐⭐⭐️
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐
星の総数    :計18個
プライ

プライ