櫻イミト

青銅の魔人 第一部の櫻イミトのレビュー・感想・評価

青銅の魔人 第一部(1954年製作の映画)
2.5
江戸川乱歩「青銅の魔人」(1949)の松竹による映画化。前シリーズの「怪人二十面相」(1954)に引き続き30分弱×4部構成で週替わり上映された子供向け連続活劇。脚本は前作「怪人二十面相」(1954)、東映の「少年探偵団」シリーズ全9本(1956~1959)を手掛けた小川正。

深夜の銀座に全身が青銅の鎧の魔人が現れ時計店を襲撃する。警察が発見し発砲するが鎧に跳ね返されて動じない。明智小五郎(若杉英二)と少年探偵団が捜査に乗り出す。。。

前シリーズから監督が交代し二十面相と小林少年の配役も変わった。街頭ロケは多くなり、青銅の魔人、手下のピエロ、地下の秘密基地、透明人間など、乱歩風なギミックも増え、前シリーズよりは楽しめた。

ただ、目の前でスーッと消える魔人、手を触れずに変装がスッと解ける二十面相など、トリックの明かされない忍術のような技にはモヤモヤしてしまった。透明人間の秘密も最後には明かされるのだが腑に落ちるものではない。終盤に江戸時代生まれのチョンまげ姿の長老が登場するのだが、時代劇さながらの演技演出がイキイキと目立って見えた。前述の超常現象的な演出も時代劇であれば違和感が無さそうだし、やはり当時の娯楽映画のスタイルは時代劇が支配していたのだろう。

”青銅の魔人”の顔デザインは頭にボツボツがありプリミティブな仏像のよう。手から謎の光線を放つ怪ロボットの体で、もしかすると日本映画初の実写ロボットかもしれない。少年探偵団が監禁された折には青銅の仮面を被せられるのだが、両耳に錠前が取り付けられているのがイヤリングの様で少しカッコ良かった。「スケバン刑事II」の少女鉄仮面を連想した。

※江戸川乱歩原作「一寸法師」の三回目のリメイクが新東宝の制作で同1955年に公開されている。
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