lingmudayan

鰯雲のlingmudayanのレビュー・感想・評価

鰯雲(1958年製作の映画)
3.5
淡島千景特集で観に行ったが、その兄を演じた中村鴈治郎が素晴らしかった。因習にこだわり、昔の小作人に威張り散らすしかない田舎のオヤジが、時代の大きな流れに打ちのめされる様をよく演じている。中村の子どもたちは思い思いの生活を歩んでいくが、彼を嫌っているわけではないことがよく伝わってきた(次男が彼の好物の酒を出してあげたり、長男と次男の間で彼の白髪について話したりするシーン)。杉村春子演じる元妻との再会シーンも2人の間に横たわる長い時間を感じさせて良かった。

淡島と新聞記者、次男と小作人の家の娘の間では情事を暗示させる描写があり、陰影でその艶がよく描かれていた。
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