千年女優

半落ちの千年女優のレビュー・感想・評価

半落ち(2003年製作の映画)
3.0
県警捜査一課が連続少女暴行犯を追い詰める中、アルツハイマーを患う妻を殺害したとして警察に自首をした元警察官の梶聡一郎。殺害の経緯と動機を自供する一方で殺害から自首までの空白の二日間は黙秘という「半落ち」状態で世間を賑わす彼を巡って、県警の志木や地検の佐瀬、記者の中尾らが真相を追う様を描いたサスペンス映画です。

後に『D県警』シリーズとして人気を博す『陰の季節』でデビューした人気作家の横山秀夫が上梓して「週刊文春ミステリーベスト10」と「このミステリーがすごい!」で年間ベストに輝いたベストセラーを映画化した作品で、助監督として下積みを重ねた佐々部清が重厚感あるキャストを演出して日本アカデミー賞最優秀作品賞を獲得しました。

直木賞選考では作中のある展開が「欠陥」と指摘されての筆者の訣別宣言が話題になりましたが、それは言いがかり的ではあってもミステリとして犯人が半落ちしている以上サスペンスに乏しい点は否めません。それでもその欠点をカバーする医療問題を絡めたヒューマンドラマを、要所で力のあるキャストが見せる熱演が支えている一作です。
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