アルツハイマー病の妻を殺した元警部の話。法廷シーンなどはグッときたのに終わってみるとモヤモヤ感が残りました。最大の争点となった空白の2日間はかたくなに黙秘し隠すようなものなのか？これがどうしても腑に落ちません。また、検察や司法の立場からすると、自白した動機が真実なのか、本来そこを厳しく追求すべきなのに、そこはおざなりで空白の2日間だけにやたらとこだわる点も疑問です。原作では丁寧に描かれている今すぐに死なない理由も映画では極めてわかりづらく観る側に気持ちが伝わりにくい。主演寺尾聡と、伊原剛志、樹木希林の心に残る熱演に比べ、他のキャストはイマイチで全体のレベルを下げている印象は否めません。原作を2時間の尺に収めることにそもそも無理があった気がします。無理をした結果はまさに半落ちというタイトルのようになってしまいました。介護問題、尊厳死などのテーマにも切り込めるはずの作品が2時間サスペンスのような風情になってしまったのは残念です。
