京劇俳優のヤン・ケは劇団の解体と共に職を失った。病気の母との生活の為に身を切り売りしている所で偶然出会った男ワン・チャンと意気投合し、彼をマネージャーとしてヌードモデルや秘密クラブ、売春、と様々な仕事をこなす様になるが……。

多分、今年一番鳥肌が立った映画だった。
30年という生涯を、前世と来世の架け橋として捉える残酷さ。生の無意味さ。カルマは救いであり罰だ。
「人生には色々な側面があるのに、誰がそれを間違っていると言えるの？」と、泣きながら抱き合うシーンが本当に良くて。魂の浄化。
ラストのヤンケの選択と表情は、まるで大きな滝を観ているような、自然の恐ろしさを感じるような顔で、固まってしまった。

絵画や経典の引用、アート映画としてヴィジュアルの良さと、クィア映画としての脚本の丁寧さ、そして普通にちゃんと面白さも群を抜いていたけれど、なにせエンドロール前、本編と地続きで入る役者へのインタビューが凄い。

本編のラストカット直後から、全裸の俳優達が思いの丈を赤裸々に語るインタビュー映像が入る。作品に対して持っている感想も、「30歳」に対しての見方も全員違う。
30歳より若かったり、とうの昔に過ぎていたり、俳優陣各々の視線での30歳への言葉は絶望だし希望だった。

しかし、最悪の誕生日映画って沢山あるけど、これまでに観た映画史上最悪のバースデー。なんかもうめちゃめちゃ怖いもん、ハッピーバースデーの歌。最悪。超最悪のハッピーバースデーが大好物の私は一生忘れられないバースデー映画になった。
辛映画は沢山見たが、今期一番のド鬱映画だったと思う。

スカッド映画もアドニス主演映画も沢山観たいけど、日本で見られる作品が多くないから、見たらスカッドのストックが減るじゃん（？）ストック切れるのが怖くてあまりズカズカ見進められない………スカッド×アドニス作品あと100個欲しい………