トーチカ

並木道のトーチカのレビュー・感想・評価

並木道(1960年製作の映画)
5.0
最高!マジで大傑作!
デュヴィヴィエ版大人は判ってくれない

ジャン=ピエール・レオが主演なのもそうだし、街ロケといい、映画を観に行こうって言ったり、ボクシングしたり、ヌーヴェル・ヴァーグ的モチーフが随所に出てくる。64歳にしてこんな若々しい映画撮っちゃうの結構凄いと思う。

ヌーヴェル・ヴァーグの面々に前時代の作家として批判されたこともあるデュヴィヴィエ(読む本によってはトリュフォーはデュヴィヴィエとかカルネのこともめちゃくちゃ褒めてたり大好きだったって言ってたりするから、実際のところ本当に批判されてたのかはよく分からない。)が、「俺だってヌーヴェル・ヴァーグ出来らい!」っていう意気込みで撮ったかのような作品。でも、デュヴィヴィエはもっと素直に「ヌーヴェル・ヴァーグ最高だね!俺もそういうの撮りたい!」って気持ちで撮ってそうな気がする、なんとなく。映画から伝わってくるデュヴィヴィエのそういう軽やかさ好きだ。

これは俺の想像だけど、大人は判ってくれないを見てあのラストで悲しい気持ちになって、1年後に作った自分の映画でジャン=ピエール・レオにこのエンディングを用意する64歳の映画監督のことを思うとめちゃくちゃ感動する。

一番感動したのは坂道を走って登っていくジャン=ピエール・レオと、それを太ったおじさん警官が追いかけるシーン。
警官は追いつけず、カメラが遠ざかっていくレオの背中を写すシーンで、若い世代に期待を寄せて映画の未来を託すデュヴィヴィエの気持ちが写されているように思えてグッときた。
他にも良いところ多々あり。ディヴィヴィエまだ3本しか見たことないけど、もっと見たいな。
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