あるてーきゅう至上主義者

ファーゴのあるてーきゅう至上主義者のレビュー・感想・評価

ファーゴ(1996年製作の映画)
3.7
雪原の白、そこに飛び散る死体の鮮血の赤。あまり意識はされてないのかもしれないけれど、このコントラストがとても鮮やかな映画。

実話に基づく物語とあって、もちろん脚色もあるのだろうけど、とにかくとんでもない話。犯罪の手際がいい犯人なら、殺人事件を起こしても長期間逃げられるだろう。手際が悪かったら、目的を果たせずすぐに捕まり、みんな無事に戻ってくる。では、手際があまりにも悪すぎる犯人だったらどうなるか?というお話。映画の中で起きる事件が、どれもこれも本当にありそう。ドミノ倒しで、本来起こすはずではなかった事件が連鎖的に発生する。

この手のノワールだと、警察関係者はいかつい暴れん坊や、手段を選ばない冷徹な人物と相場が決まってるけれど、マクドーマンドが演じた警察署長がある種の母性愛に溢れた切れ者という、ちょっと他では類をみないユニークさ。不思議と心が暖まる犯罪映画でした。