テレビアニメの映画化はお祭りである。
原作とテレビ放送の素材だけでこれだけ飛躍した物語を創造し、93年1作目から既にこの境地にいる。お下劣ギャグの起点からブレる事なく延長線上に圧倒的スケールを上乗せしてシリアスさが崩れない絶妙なバランス感覚。
親子連れで劇場に足を運んでもらうという観点ゆえ、子育ての苦労や、家事に無関心な亭主の描写がさりげなく挟まれ、「いつもご苦労様です」という親御さんへの労いも忘れていない。この姿勢は後の「オトナ帝国の逆襲」に繋がっていく。
そして何より、物語冒頭で「特撮は作り物」であると堂々と明かしながら、アクション仮面は実在する、アクションビームは打てる、「君もヒーローになれる」というメッセージにまで昇華した、これからのシリーズを牽引する偉大なる第一歩にして、大傑作。
MCUがマルチバースを本格始動させる30年前にクレヨンしんちゃんはマルチバースの扉を開いていた。その先見性には頭が下がる。
大人が見返すと感動がスゴい。ただ、終盤ポリゴンショックがあるので子どもの視聴には注意が必要かも。