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愛の調べのETTYのネタバレレビュー・内容・結末

愛の調べ(1947年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

この映画は古くてモノクロだが、クララとシューマンの関係性がわかりやすく描かれていたと思う。また、所々で出てくるクララやシューマンの演奏が素晴らしかった。

若い頃から有名だったクララとシューマンの2人を見ていて、音楽家同士の結婚はとても大変だと感じた。子供がたくさん生まれて、子育てや家事や妊娠を続けながら演奏会に出席していたクララの状況に違和感を覚えた。演奏の途中に赤ちゃんが泣き出して、演奏を省略してすぐに授乳に行ったり、仕事に集中できないだろうなと思った。

ブラームスの気持ちを思うと辛かった。役に立ちたいと思い、子供の相手をしながら住み込みで働き、もうここにはいられないという判断をする。クララはブラームスに対して恋愛感情は持っていないようだったが、とても仲が良く、頼りにしていたので、ブラームスの方はもっと好きになってしまったのだろうと思う。

その後のブラームスが出て行く時のシューマンの対応がとても大人だなと思った。ブラームスが妻のことを好きだと知りながら、ブラームスが出て行くことを悲しむ妻に寄り添っていた。こんな心の広い人はなかなかいないと思った。

一方で、シューマンの精神状態がどのようにして不健康になっていったのか気になる。ブラームスがいたころから耳鳴りが止まらず、頭痛がすると言っていた。やっとできた演奏会の途中で指揮ができなくなり、次のシーンが精神病院のようなところであった。自殺を図ってから、良い日もあり悪い日もあるということであった。その部屋の中でクララのために奏でたトロイメライはとても美しかった。

シューマンが亡くなっても彼の曲を弾き続けたクララを通じて、2人の間の愛を深く感じた。
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