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里見八犬伝のやむちゃのレビュー・感想・評価

里見八犬伝(1983年製作の映画)
3.9
備忘録
高校1年生の時(1983年)に鑑賞。
鑑賞後、鎌田敏夫の原作も読んだ。

JAC映画の集大成。
八犬士の中に、千葉真一、真田広之、志穂美悦子、大葉健二(宇宙刑事ギャバン)とJACメンバーが4人も入っている。

そして角川映画としてもピークの作品。
特に伝奇時代劇としては、「魔界転生」、「伊賀忍法帖」から続いてきた路線の大トリ的作品。
出演者が豪華で、セットや演出も派手。老若男女が楽しめる作品になっている。

薬師丸ひろ子の、勝気だが真っ直ぐなお姫様も、それまでの時代劇の定番おしとやかなお姫様像とは全く違って新鮮だった。
夏木マリの妖艶さは、高校一年生には刺激的過ぎた。悪役ながら一番インパクトのある役柄だと思う。
その他にも、京本政樹や萩原流行、目黒祐樹と本当に豪華な顔ぶれ。

深作監督の演出は、前半の八犬士が集まるまでが丁寧すぎて、少し長いようには感じたが、後半の決戦に向けた「溜め」だったのかも。
最後の決戦は、それまでの真田広之主演作の高所からのダイビングのような、「これ!」という大きなアクションはないものの、本当にJACの総力を挙げた立ち回りで大満足。
姫が悪を討つために、一人、また一人と犠牲になっていく八犬士の姿が騎士道的で心打たれた。
ラストは「レイダース失われた聖櫃」のオマージュ(パクリ?)シーンがある(宇宙刑事ギャバンでも同様のシーンがあった)。

ジョン・オバニオンの音楽も素晴らしい。今では普通になった「時代劇にロック」の先駆けとなった。
主題歌「里見八犬伝(英語:I Don't Want This Night To End)」も良いが、オープニングの「八剣士のテーマ (White Light)」が、さあ始まるというワクワク感、ゾクゾク感を感じさせてくれる名曲。

悪のオババ(パントマイムのヨネヤマ・ママコ)が顔を引き裂くと中から大百足が出てくるというシーンがある。
大百足の動きは、いかにもワイヤーで吊ってますといった感じでかなりショボい。
が、個人的には、この顔を引き裂くSFXが衝撃的だった。
それまで「13日の金曜日」等のスプラッター映画は、「あんなの殺人シーンを見せるだけの見世物」とバカにしていたのだが(本当はちょっと怖かった)、今作のSFXで「何かが目覚めて」しまった。
免疫がなかった分、インパクトが大きく、こうした技術をもっと観てみたいと思うようになり、1年後の「死霊のはらわた」鑑賞に繋がっていく。
JACを観に行きながら、ホラーの沼に足を踏み入れることになった作品でもある。
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