Ark

暴力脱獄のArkのレビュー・感想・評価

暴力脱獄(1967年製作の映画)
3.6
2023-229
戦争で勲章を受け、軍曹にまで昇進しながら一兵卒として除隊したルーク・ジャクソンは、パーキングメーターを壊した罪で刑務所に収監される。そこで所長や看守からの体罰を受けるが、権力に屈せず脱獄を繰り返す。


実際にポール・ニューマンは海軍に入隊して活動した経歴があるようで驚いた。パイロットになりたかったが色盲だったためパイロットにはなれず、太平洋で通信士の仕事をしていたらしい。
スティングでロバート・レッドフォードと共に出演していたようだが、よく分かってなかったのでもう1回ちゃんと観たいと思った。

ネタバレあり↓


最初はなかなか話が進まなくて退屈だったけど、脱獄し始めた辺りからおもしろくなった。
戦争で道を見失ってしまった男の話として観ると見え方が変わった。

パーキングメーターを壊して捕まったルークは、過酷な労働を強いられたり、刑務所で囚人が酷い扱いを受けるのを見たり、自分自身でも体罰を経験する。そして、母の死を口実に懲罰房に閉じ込められ、それ以降脱獄を繰り返すようになる。

脱獄後、連れ戻される度に酷い罰を受けるが、それでも屈せずに何度も繰り返すルーク。捕まったら酷い目に遭うと分かっていながら繰り返すその反骨精神には感服する。

でも徐々に疲れてきた様子で危うい雰囲気が出ていて、そんな姿も魅力的だった。神は助けてくれない、何も教えてくれないと嘆くルークが印象的。
ラストは自ら死にに行ったように見えて切なかった。深読みすると戦争以降道を見失って自暴自棄になりパーキングメーターを壊し、刑務所では看守たちに反抗した末に絶望し、自ら死を選んだように思える。なんにせよ、彼の心を温めてくれる存在があれば明るい未来があったんじゃないかな。

弦楽器を弾いて歌いながら涙を流すシーンがすごい。ワンカットで歌いながら泣き続けるってなかなか難しいと思う。しかもすごく自然だから、本当にワンカットだとしたら神業だね。

途中の死んだ犬や、柵に絡まった犬はどうやって撮ったんだろう?どっちも本物の犬に見えるから、死んだ犬は薬で眠らせてるとしか思えないのだけど、倫理的に大丈夫なのだろうか。

所長のストローザー・マーティンに見覚えあると思ったけどないっぽい。独特の喋り方に聞き覚えがあると思ったんだけどな〜。

邦題が絶望的にダサい(笑)
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