のもちゃん

グッドモーニング、ベトナムののもちゃんのレビュー・感想・評価

3.6
スラッグを含めて、生の米語を理解できる能力を持っていたら、この映画をもっと楽しめたのかぁ?卑猥な言葉らしきが多すぎるけど…と半分冷めた気持ちで前半を視聴。人気DJの弾丸トークを、ベトナムに派兵された米兵士達がとびきりの笑顔で何故笑えるのか?! 字幕からの理解では、全く伝わらない。

後半からは、画面から目と耳を離せなくなった。登場人物一人一人の言葉や態度に本音や裏の意味が隠されていると感じたから。
逃げようとする少年にDJが言ったのは、「あなた達を助けるために(米軍は)来た!」。それは、米国の思い上がりと勘違いの示唆。ベトナムの人々だけでなく、アメリカの正義を信じて派兵されて来た多くの若者たちの命も奪った。
寺子屋風の英会話教室で、DJ先生の「なぜ怒らないのか?」に対して、おじさんは"言葉少なく、我慢を重ねるベトナム人の国民性"を示す回答をしていた。
大人になりかけの兵士達は、DJに次々と故郷を聞かれ、自慢げに故郷の名を口にしていた。誰だって、生まれた土地が好きで、恋しい。そこに父や母や兄弟、仲間がいるならば、そこほど大切な場所はない。誰もそこを穢せない。他所の国の人が自分たちだけの正義でそこに踏み込めないはずだ。これから死ぬかも知れない若兵士に故郷の名を大声で言わせたDJは、優しさに溢れていた。

"What a Wanderful World"の優しいメロディが流れた時、誰もが心から癒やされただろう。いつの世でも世界中の人々が、この歌詞の世界を目指せると良いのだが。
のもちゃん

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