Rita

Love LetterのRitaのレビュー・感想・評価

Love Letter(1995年製作の映画)
4.6
私の初恋。

拝啓、藤井樹様。あなたは誰ですか。

婚約者を亡くした渡辺博子は、忘れられない彼への思いから、彼が昔住んでいた小樽へと手紙を出した。すると、来るはずのない返事が返って来る。

藤井樹には、中学生時代クラスに藤井樹という同姓同名の男の子がいた。三年間同じクラスで周りからはひやかしを受け続けた。あいつとの間に恋愛感情など入り込む余地はなかった。

中学生という思春期真っ只中に同姓同名のことをクラスの人たちにからかわれ自分の気持ちにすら気づけなかった。そんなことがありながらも、彼とはたまに話す仲でした。そして私が図書委員だったことは、彼の隠したある"もの"を知るキッカケとなるのだった。

中学生時代の回想シーンはもどかしくて胸がいっぱいになる。学校で図書委員を任されることになった二人の藤井樹。図書室では、樹が一人で仕事をしているなか、もう一人の藤井樹は本を読んでサボっている。風に揺れるカーテン越しに見え隠れする彼から目が離せない。気がついたら恋に落ちていた。

誰も借りない本を借りて、藤井樹ストレートフラッシュなどと意味の分からないことを言いその悪戯を気に入ってる彼。忘れられない学生時代の思い出が儚く蘇る。初恋の相手。もう戻ることの出来ない甘酸っぱい青春時代。学生の頃のノスタルジックな思い出に浸る心が温かくなる名作。

どこか地に足がつかないような浮遊感と気だるさが心地良い。私も学生時代の青春は憧れたけど実際には藤井樹のような男の子はいなかったし、居るとすれば開票係の稲葉のようなやつばっかりだった。

辺り一面真っ白な雪景色が綺麗。私の地元では雪は年に一回降るか降らないかのレアな存在なので雪景色が羨ましい。藤井樹のように真っ白な雪の上で、私の場合何ともない山に叫んでみたいです。

渡辺博子と藤井樹のヒロインを一人二役演じた中山美穂。中山美穂の横顔が綺麗でした。博子と樹の顔がそっくりというのは博子にとって彼を愛しているからこそ残酷だ。10年越しのラブレター。切ないけど、真実を知った樹が照れ臭そうに笑ってたラストが最高。

藤井樹による偶然と奇跡の出会い。変な彼に目が離せない藤井樹さんあなたの気持ちに凄く共感しています。私には昭和の学生時代の恋は素敵なものにうつります。素直じゃない学生の描写がリアルで好きです。この映画見たあと私だけかもしれないけど脳内で松田聖子の「SWEET MEMORIE」流れてる。笑
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