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花ちりぬのlingmudayanのレビュー・感想・評価

花ちりぬ(1938年製作の映画)
4.0
幕末京都のお茶屋が舞台。外の世界の動乱と対照的にお茶屋の中だけを舞台としているところで侯孝賢の『フラワーズ・オブ・シャンハイ』を想起させる。このお茶屋には前年に訪れた長州藩士の客に連れ出されることを夢見る花井蘭子、江戸から逃げてきた水上怜子などの芸者たちがおり、外の世界から隔絶された場所として描かれている。だが女主人の三條利喜枝が新撰組に出頭を命じられ、芸者たちも続々と避難し始める。残った花井がBGMとともに駆け出して屋上から京都の街を見やり、三條を呼ぶシーンが素晴らしい。映画は花井がお茶屋に戻ってきた水上とともに死を待つところで終わるが、この映画が撮られた数年後の戦争を予告しているようにも見えてしまう。
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