Djohn

ナタ 魔童の大暴れのDjohnのレビュー・感想・評価

ナタ 魔童の大暴れ(2025年製作の映画)
4.6
アニメ興収史上世界一位という触れ込みを観て、これはきっとただ事ではないと思って劇場に足を運んだ。本当にただ事ではなかった。

映画が始まって分かる原題「XXXXXX2」。え? 2って続編? 確かに続編で、いきなり話が途中から始まっている。どうやら本作は小規模公開だった「ナタ 魔童降臨」という作品の続編らしい。これは大変だわ、意味が見えない。しかし信じがたい密度の画面に思わず呆気にとられ、全く飽きることがない。少しづつ人物の位置が掴めてきた。

普通いかに大作と言えども、緩急というものがある。しかしクライマックスのまま始まり、止まることがない。こんな大変な密度の作品は、ハリウッドでもまず作る事が出来まいとさえ思う。

ストーリーは後半でやっと飲み込めてきた。中国の道教がベースとなった「ロード・オブ・ザ・リング」的神話を、ドラゴンボールのようにエンタメ化した物語。神話の大元はインドらしいが、詳しくは知るところではないご、物語の世界観が濃密に過ぎて、まるで南インドのテルグ語作品に比肩するテンションの高さを見せつけられたような格好だ。先頃「デーヴァラ」を観て受けたショックに、追い打ちをかける映画体験。

2から観始める体験というのは、「バーフバリ 王の凱旋」以来と言える。しかし面白すぎて、意味分からんのにすっかりハマってしまった。ハッキリ言って香港映画とは全く違う、北京の映画だ。昔「少林寺」を観た時の印象を思い出した。香港の影響が全く無いカンフー映画というのは新鮮だったので。

本作が掲げるテーマ性には、少なからず感銘を受けた。どんでん返しの末に主人公が得た価値観からは、中国の文化人の本音が伝わってくるようだ。

恐らく本作には続編が作られる事と思う。しかしその前に是非、第一作目「ナタ 魔童降臨」を再公開して、本作へと続けて観させて欲しい。
0件

    いいね!したユーザー

    Djohn

    Djohn

    Djohn こと、ヂョん。音楽好き、映画好き、山好き。 映画は長年普通に観ているものの、バランスは偏ってるかも知れません。