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白雪姫のDjohnのレビュー・感想・評価

白雪姫(1937年製作の映画)
5.0
後にも先にも本作しかない偉業を観るという得難い経験。

手塚治虫が完全にいただいたと思われる七人の小人のキャラが、今見ると正に本作の主役だったと感じる。一秒24コマの書き込みは、人間の動作を撮影してからそれに併せて描き込むという気の遠くなる作業の繰り返しで主要キャストはアニメのキャラと一緒に動く。これを現代に作ったら一体どれだけの予算がかかる事になるのだろう。

「ライオンキング」でディズニーが手塚の影響を隠す事がなかったのには、手塚がディズニーを大いに継承した作品を残したからに違いないと思う。

カラーで長編のアニメーションは本作の前にはなく、当時と同じ手法で映画を作る事は現代では不可能。同じレベルで全てが手作業だったのは、せいぜいジブリまでかも知れない。

新作の実写版「白雪姫」を観た後で鑑賞。アニメでのみ成し得た部分をCGで再現するのは厳しく、ブロードウェイ・ミュージカルを意識した演出は、本作との違いを大いに際立たせる事にはなってしまった。それに、やはり主題歌の「いつか王子様が」は、ないと寂しい。
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