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2025.3.25鑑賞。

言葉を選ばずに言うなら、決して一般にウケることはないであろう作品。しかし製作陣の熱意とメッセージ性に富む内容であった。映画としてのクオリティはどうあれ、過去に生きた人間の営みと思考を伝え、そして現代に反映しようとする試みはあって良い。
ネタバレしない範囲内で内容にコメントを加えるならば、描写が現代的な方面にやや偏りがちで、歴史的実在としての新渡戸稲造および遠友夜学校についての言及に不足を感じた。結果、タイトルにある「新渡戸の夢」というのが一体何であったか、わかりづらさがあった。
ただ製作陣が表現しようとしたこと、つまりは新渡戸の営為を現代においてなおも実践しようとする努力は、観る者に教育や学問の在り方を考え直す契機をもたらし得るものと思う。新渡戸の言葉通りに、あるいは夜学校の校歌を体現するように、おそらくは採算を度外視に正義を、善を実践しようとする誠実な態度を私は評価したい。