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スリ(掏摸)のGONのレビュー・感想・評価

スリ(掏摸)(1959年製作の映画)
4.2
無表情だからこそ引き出せる、作品の魅力。

遂に手を出してしまいました、ロベール・ブレッソン…!!

こんな映画作るんだ。登場人物に感情が一切籠ってないという革新的な映画文体。奇妙だな〜

ブレッソンは素人俳優を起用することで知られてますけど(少なくとも僕はそう思ってる)、この作品見る前までは「なんでわざわざ素人を起用するのかな?」なんて疑問に思ってました。だけどいざ見てみると完全に理解。
全編無表情、無感情で押し通す。ブレッソンは俳優の事をモデルと呼んでるそうだけど、正しくその通りで、彼らは演技をしていない!だから演技力がどうとか関係ないんですね!でもそれでここまで緊張感に包まれた映画を作れちゃうんだから、ブレッソンやばい。
さらに演出の上手さも一級品。特にスリのシーンは毎回ハラハラドキドキで緊張したな〜 手の映し方が芸術的で美しい…

この作品がブレッソン自身初のオリジナル脚本作らしいんだけど、確かに脚本の粗雑さが所々に見当たる。とは言え野心的でエネルギーを感じる力強い脚本であることに間違いは無いです。
この脚本力が遺作ラルジャンで何処まで洗練されてるか楽しみだ…!

【2020 9/17 追記】
☆3.8→4.2
流石にスコア低すぎたわ
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