スリ(掏摸)の作品情報・感想・評価

「スリ(掏摸)」に投稿された感想・評価

80分未満でしっかり完結させられる細かい演出の巧さ。
凄すぎて笑ってしまった駅での連続スリ。
そしてラスト、やっぱり最後に残る希望は愛だよな。
一人の青年の“スリ”人生
淡々と・・・これはもう、ドキュメンタリーだっ‼
tyapioka

tyapiokaの感想・評価

3.0
スリにのめり込む様が丁寧に描かれている。スリの技術の映し方は美しく、それでいて現実味がありよい。独白、無表情、モノクロということが相まって硬い印象。女優が美人。
しばしば、演技論に話が及ぶと名前があがるブレッソン。彼の作品のほとんどは演技未経験の素人が起用されているかららしい。深田晃司監督も撮影前のワークショップでは役者たちに演技論の勉強として、ブレッソンの「ラルジャン」を見せるんだとか。演技どうこうより監督の演出論のような気もしますが。

で、今作は演技の観点からいくと、主人公は感情を出さない控えめな比較的演じやすい役。ただ、重病の母親を抱え、生活に逼迫した上で止む無くスリを行うというのがややネックな設定。でも違和感なく演じられていたと思う。

今作で一番気になったのが、編集。凝ったカットは全然ないのに、なぜか繋ぎ目が気持ち悪い。序盤の2対1の対話の場面、切り返しとグループショットの組み合わせが悪かったように感じ、誰と喋っているのか分からない錯覚に陥る。ひとまず、ブレッソンは片っ端から見ていこう。
ざね

ざねの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

スリの銀次みたいなニヤケもなくて、とてつもなくスマート。
手錠かけるシーンも荒立てることもなくてすぐに次のカットに行くあたりは、素晴らしすぎてクッと体に力が入ってしまった


ピンボールで練習するシーンは、スポ根の独特なおバカ練習ぽくてすごくいい


きっかけは貧困からでもあんなテクニック身につけたら、金だけが目的だけじゃなくて試したい好奇心だったり、興奮が抑えられなくなるのもわかる
日本でも金に不自由がないのに万引きしちゃう人もいるらしいけど、それもおんなじなんだろうな


全体的に語りも会話も多くはないけど、後に尾を引く言葉が多くて何回観ても発見がありそう
ドキュメントタッチの犯罪サスペンスとの思い込みで観ると、なんと冒頭から「この映画は刑事ものではない・・」のナレーションが流れる。
1960年公開のローベール・ブレッソン監督の名作の誉れ高いモノクロ作品。
パリの地下鉄やカフェ、ロンシャン競馬場等、同時代の場景とゆったり流れる時間がモノクロ画面で公開当時の日本を思い起こす。

貧乏学生の主人公ミシェルは、下宿の部屋に鍵もかけない。貧しさが普通にある時代。スリとういう犯罪が、その主人公の美しい手の動きをアップにすることによって、まるでクラシック音楽の演奏者のように感じる。

原題は「Pickpocket」だが、邦題の「スリ(掏摸)」が似合う。


独りごと
お盆休みなので、三大スリ映画(勝手に選出)を観る事にする。先ずは1960年のこの作品から。次は、2000年の邦画「スリ」黒木和雄監督、原田芳雄主演。最後は2008年の香港映画「スリ」原題SPARROW/文雀のジョニー・トー監督。
n

nの感想・評価

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スリシーンのしなやかで流れるような手の動きが印象的、美しさすら感じる。ラストシーンも良い。
ごめんなさい。好みじゃなかったです。抑制された劇画といい当然意図してのことだろうけど、下敷きとなってる罪と罰と比べるとフィジカルな部分が抜け落ち概念が先行しすぎている印象。
抵抗に続いて2作目のブレッソン映画、発掘良品です。みんな役者が素人ばかりということですが、かなり自然でリアリティがありました。エンディングのシーン、美しかったです。
sonozy

sonozyの感想・評価

4.0
1959年、ロベール・ブレッソン脚本・監督作。
撮影は『抵抗(レジスタンス)死刑囚の手記より』のレオンス・アンリ・ビュレル。
ドストエフスキーの『罪と罰』にインスパイアされた作品と言われていますが、『罪と罰』読んでない・・・

冒頭に出てくる説明
「本作は刑事物ではない。映像と音である青年の悪夢の表現を試みている。
彼は自分の弱さに負けスリという冒険を行う。
この冒険が奇妙な道筋を経て結びつける二つの魂は、この冒険なくして出会う事はなかった。」

仕事のない青年ミシェルが、スリにハマっていく物語。

ボロい小部屋に暮すミシェルは、生活のために競馬場でスリを始めるが当日逮捕されてしまう。
だが、証拠不十分ですぐに釈放される。(この時の刑事が後々出てきます。)

友人ジャックの心配や、刑事の疑惑の目をかわしながらスリの技を磨くミシェル。
ジャックと刑事の前で「有能な人間には特権があり、時には法を犯す自由もある」と語る。
(なんと直前に見たヒッチコックの『ロープ』と同じ超人思想でした。)

更に2人のスリ仲間と組み、ときに後ろ手で、ときに新聞紙に隠し、連携プレーで相手の財布や時計を掠め取り、成果を上げる。

そんな彼が出会うのが、たまたま重病の母が暮らすアパートの階下に住んでいて面倒を見てくれているジャンヌ。
ミシェルはロクに母の様子を見にも来ないヒドい奴なんですが、その母も亡くなります。

その後、あれこれあって、最後はジャンヌのために足を洗おうと決意するミシェルだが・・・

ブレッソン監督作の特長で、出演者のほとんどは素人。
ミシェル(マルタン・ラサール)は演出見習いをしていた映画青年、ジャック(ピエール・レマリー)は医学生、刑事(ジャン・ペレグリ)は作家/大学教授だそう。
そして、美しいジャンヌ(マリカ・グリーン)は本作によって映画女優の道に入ったいう。

ミシェルにスリ技を伝授したのは実際の元スリだそうで、手のクローズアップによるスリ技はスリリング!
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