スリ(掏摸)の作品情報・感想・評価

「スリ(掏摸)」に投稿された感想・評価

スリの映画といえば2015年の映画「フォーカス」のウィル・スミス、マーゴット・ロビーを思い出しますが、こちらは1959年フランス、ロベール・ブレッソン監督のミッシェル(マーティン・ラサール)という1人のスリに密着したモノクロ作品。

素人のミッシェルがスリの道に入り、テクニックを身につけ、次々と犯罪を犯していきますが、早い段階で警察に目をつけられるところ、レ・ミゼラブルのような雰囲気もあります。監督がドストエフスキーの「罪と罰」にインスパイアされた作品らしく、貧しく暗い時代にやむを得ず犯罪に走ってしまう人々(ミッシェルが犯罪を肯定するような台詞もあり...)を描いている点で、社会的なメッセージもあると思いました。

チームで仕事をしたり、華麗なテクニックも見られますが、決して美化されていないところ、リアリティーもありました。
親の愛情や恋愛要素もあり、なかなか深い感じの映画であり、表現も繊細かつ大胆、好きなタイプの映画だったと思います。

あと、この監督、職業俳優を嫌い、素人を使った作品を作ることで有名ですが、主演のマーティン・ラサールの目、映画「ナイトクローラー」の時のジェイク・ギレンホールに似てるような気がして、印象的でした。それとジャンヌ役のマリカ・グリーンはキレイ、彼女はカラーで見てみたかったです。
No.350[ブレッソン映画の素人演技って精進料理みたいだよね] 90点

多くのシネフィルたちが"ブレッソン的"という言葉を使うほど愛されるブレッソンだが、その意味は人によって微妙に違うというのが面白いところ。ここでもいつも通り非線形天邪鬼である私にとって、ブレッソンが称賛されていることにその手の感情が働いてしまうために苦手とする監督ではあるが、実際に見てみると凄い監督であることは理解できる。ただ、私のこれまで見たブレッソン作品「ラルジャン」「白夜」は(若かったのもあって)それほど響かなかったし、「やさしい女」は大好きだけど驚くほど内容を覚えていない。

本作品はどうだろう。
孤独な男がスリ行為自体に魂の安らぎを見出して汚れていき、純真無垢な少女の存在によって救済されるというキリスト教的話を、一切の無駄を削ぎ落とした文体で語っている。削ぎ落としすぎて必要な情報すら削っている気もするが、それが逆に魅力になっているのが面白いところ。

ブレッソンの演出は通常通り素人を完全統制下に置くスタイルなのだが、やはりブレッソンが与えた啓示を素人が表現するみたいな形態をとっていて興味深い。奇妙に現実味が失われている分、不思議と神々しいというか。棒読みとぎこちない動きは我々観客の存在を一切否定し、入り込む余地のない"完成された作品"となっている。こちらに無駄な感情を抱かせないような無感情棒読みの演出やゴテゴテしてない淡白な映像は精進料理を思い出させる。仏教の戒律に基づき殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼として調理された料理、とのことなのであながち間違いでもなさそうなのが笑える。

ヒロインのマリカ・グリーンは可憐すぎて卒倒しそうになるが、彼女もブレッソンが見つけてきたらしいから”共犯女優”を見つける目は肥えていたみたいね。「バルタザールどこへ行く」のヴィアゼムスキーとも似ている雰囲気だから、ブレッソンの好みも分かった気がする。ちなみに、ブレッソンは素人を街で物色していたわけではなく、知人のブルジョワ界隈の子息を狙っていたらしい。現に「バルタザールどこへ行く」にはマリカの弟が出演している。

ブレッソンの良さが分かってしまったということは、私も年を取ったのだろう。嬉しい限りだよ。
McQ

McQの感想・評価

3.7
ストーリーも映像も役者もどこもかしこも地味な筈なのに、ぐいぐい引き込まれる。

主人公以外の視点を排除しているので、まるでスリする男の行動を覗き見してるかのよう、、

こちらとしては犯罪行為を黙って見るしかないので、なんだかソワソワし、罪悪感を覚えてしまうほど(^^;

華麗なるスリテクシーンは60年代とは思えないほどスタイリッシュ。じわじわ程よく緊張出来るのでモノクロだろうと、飽きる事なく一気に観れた。

個人的には、男が改心して真面目に働いて稼いだお金を別の男にスられるぐらいの展開を期待していたので、、
あれ??という感じで終わってしまった。
docobank

docobankの感想・評価

4.3
靴音と指先に、ここまでの「美」を感じさせられるとは。

不足気味なストーリーも、映像を洗練させるという大義のもとでは仕方ない。

監督の手がけた他の作品を見たくなる。
雪ん子

雪ん子の感想・評価

3.0
好きな俳優の1人の西島秀俊さんが、昔インタビューでこの監督の作品が好きだと言っていた。やっとレンタルして見たけど、レビューを書いている他の皆さんのように、凄さがイマイチ分からなかった。またいつか見たい。
ロベール・ブレッソンこそ本物の天才じゃないかと思い始めた。他は「抵抗」しか観てないけど。

なんというか、キリッと引き締まった作品を投げ掛けてくるんですよね。ホント過不足がない。
Ricola

Ricolaの感想・評価

3.5
ブレッソン監督作品初鑑賞。

スリの際の手元のクロースアップがとても印象的。
単純に、こんな手口があるのか…!と驚かされる。

ダメだと頭ではわかっていても止められない、彼の葛藤もよく感じ取れた。
lag

lagの感想・評価

4.2
"これは刑事物ではない" 、と冒頭より。

研ぎ澄まされたミニマムな演出。奇術のような、流れるような手。

罪。孤独。屈辱。好意。罰。その果てに。
ドストエフスキーの「罪と罰」みたいな作品。
76分で上手にまとまっていて、今まで映像化されてきた「罪と罰」と比べても一番完成度高いんじゃない?!
主人公に共感出来るかどうかで評価が割れそうだけど、僕は共感できたから好きだった。
とにかく洗練された作品だな〜という印象。
スリのシーンも緊張感がたまらん。
Kako

Kakoの感想・評価

3.5
俳優の演技や顔に一切頼らず、クレショフ効果を巧みに用いた演出。
第三者視点のカメラは小説を読んでいるかのような錯覚を起こす。
音楽と声の使い方が好き。こういう映画、今の日本では何があっても流行らないだろうけど。
>|