スリ(掏摸)の作品情報・感想・評価

「スリ(掏摸)」に投稿された感想・評価

Hayaki

Hayakiの感想・評価

3.3
やった者は黙っているし
語るものはやっていない
だが僕はやった

流れるようなスリの連携プレー
病床に伏せる母を養うため、スリ行為に手を染めた青年が、周囲の杞憂を押し退けて、行為をエスカレートさせていく。本当の意味での「確信犯」を描いている、クライム・サスペンス。

治外法権を手に入れた者には窃盗行為が許されるべき、という信条をもっている青年の人生模様。たった一度の犯行により、麻薬のような常習性が生み出されていく過程と、それを赦そうとする穏和な女性との交流が繰り広げられる。

反道徳的行為を成し遂げた自分に酔いしれている感覚や、打算的な日常を送っているつもりが少しずつボロが出てくる様子、チームワークでピタゴラスイッチのようにスリを遂行する展開など、見どころは枚挙に暇がない。

登場人物の一挙手一投足を映像に収める手法は、神代辰巳のルーツと言っても過言ではない。本作にポルノ要素を加えてアレンジしたものが、日活ロマンポルノ「白い指の戯れ」(神代辰巳脚本)ではないかと思われる。

※余談だが、ヒロイン役のマリカ・グリーンは「エマニエル夫人」にてシルヴィア・クリステルとレズビアンの濡れ場を演じている。
観た
主人公の電車での気付きはなんとも恐ろしい。気になる人がいると。と新聞紙を触る人物写真を観察し続ける。
人は衝撃を受けると、
自分もやってみたい、
自分にもそれが出来るんじゃないか。と思ってしまう。
悪事も成功してしまうと、自分の意義となるのだろうか。

気持ち悪いくらいの手さばきでサイフを抜いていく様は、なんともいえない。

このレビューはネタバレを含みます

君にたどりつくまでにずいぶんと妙な回り道をした
ラストに男と女のひとつの真実が凝縮されて秀逸カフェのシーンを何度でも観たい
ぼくに言えることなんてなんにもない。でもこの無力さの感得こそ宝かも。
ネット

ネットの感想・評価

4.0
エレガントの極み。タクシーや駅での連携プレーは美そのもの。
最後の柵がもう本当にね…そしてあのセリフ。「ファイト・クラブ」を思い出してグッときた。

主人公の捻くれた性格も面白い。
飽きるわけではないし、スリのシーンはピタゴラスイッチみたいで面白いが、ストーリー微妙。強引。罪と罰の劣化版
NY

NYの感想・評価

3.6
静謐な映画。
ブレッソンは本当に特異な映画作家だ。素人俳優を起用するからともすれば鼻じらむ演技を見せられると思いきや、それがどうしてなかなか・・・

モデル(ブレッソンの映画では俳優のことをそうよぶらしい)の映画出演後を追いかけたDVD特典映像も秀逸。
凛太朗

凛太朗の感想・評価

4.0
過剰な演出を極端に削ぎ落とすことから生じる徹底的なリアリズム。
ミニマルな演出の中で光るスリの巧妙な手つき。

ドストエフスキーの『罪と罰』で、ラスコーリニコフは「非凡な人間は、世の中を良くするためなら道徳に反する行いをしてもいい」という独自の考えのもと、質屋の老婆を殺害してしまいますが、なるほど、批評家が指摘するように、これは確かにこの映画の主人公ミシェルに通ずるもんがあるし、罪を犯した男を女性が赦すというラストも同じである。
主人公からはラスコーリニコフ的な孤独も感じられる。

スリを働く動機は、単にミシェルにスリの非凡な才能があったからなのか、孤独を埋めるためなのか、スリルを求めるためなのか?
例えばコンビニやスーパーマーケットで万引きを働き、万引きGメンに咎められて店の奥に引っ張られるおばさん。TVでよく見るやつ。
お金がないわけでもないのにやってしまう理由は何なのか?
勿論スリも万引きも、理由があったらいいってことにはならない。疎遠の親が亡くなろうが、太陽が眩しかったからという理由で人を殺してはいけないのだけれど。
カミュの『異邦人』的な匂いもします。
Jeffrey

Jeffreyの感想・評価

4.5
‪「スリ」‬
‪本作は貧しい青年がスリを行う日々を描いた作品で観た人なら誰もが思うあの地下鉄=列車の中での巧妙な手の動きのシーン…芸術性の感動覚える。スリはブレッソン作品の中で多く扱われる孤独を徹底したリアリズムで映す。孤独では少女ムシ…手のカットでは白夜、バルタ…など驚く演出ばかりだ。‬本作はとにかく見て欲しい傑作の1つ!ロベールブレッソン作品に嫌いな作品は何一つない!
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