るな子

マネーボールのるな子のレビュー・感想・評価

マネーボール(2011年製作の映画)
4.2
“低予算で球団を勝てるチームにしていくだけの、実話を元にした感動系ストーリー”だと思い込んで見始めたら全然違いました。
大筋は低予算で〜という認識で間違っていなかったのですが、話が進んで行くにつれて人生の岐路について言われているような気がしました。

自分の人生を決める選択をした時、それで正しかったのかと自問自答をしたり、後悔をしたり。
人によって様々な気持ちを抱えているかと思いますが主人公からもそれを感じました。
客観的に見たら明らかに主人公は成功している筈なのに、本人は満足していない様子で。
理想が高いが為に、本来ならば苦しまずに良いことで苦しんでいるように見えて、辛かったです。

10代の頃の決断を「失敗」だと捉えているように感じたのでそれのせいだろうなあ、と思いました。
選手時代に思ったように活躍出来なかったことで夢を叶えられなかった…、と苦い思い出に囚われていると言いますか。
そんな過去があったから今度は夢を叶えたかったのに、また破れてしまったことで自身が成した快挙や認められたことを成功だと思えない。
生粋の夢追い人である主人公の気質に、頭を抱えました。

EDで流れていた曲が、そんな主人公に向けてのメッセージだったのでこみ上げてきそうでした。
映画とは歌詞が少し異なる原曲も聴いてみたのですが、自分の人生で悩んでいる全ての方を慰めているように感じました。
度合いは違えど、きっと主人公と同じ思いを抱えて生きている人はたくさん居ると思うので…。

まさかこんな感想を抱く作品だと思わなかったので完全に不意打ちでした。
面白かったです。

最後に話がそれますが、ピーターのキャラクターや二塁へ走るのが怖かった選手のエピソードを語るシーンが好きでした。
マリナーズ所属の某選手が主人公の頭上に設置してあるテレビからまるでほくそ笑んで見下しているとも取れるシーンも印象的でした。

数値で選手を見出す新しいシステムに挑戦する主人公の姿を通して、人生・夢といった人間臭いテーマに触れた実話ドラマが好きな方にオススメしたいです。
るな子

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