ヤマグチさん

チャーリー・ウィルソンズ・ウォーのヤマグチさんのレビュー・感想・評価

4.1
この映画は100分には収めきれないほど、さまざまな示唆に富んだ映画だった。
スートリー性はもちろんだが、チャーリーウィルソンという人間の描写性においても優れていた。
酒、ドラッグ、女全てにおいて堕落しながらも、上院議員としてアフガニスタンの代理戦争に終止符を打つべく奔走する。
仕事とプライベートのスキャンダルを交互しながら着実に外交を進めていくチャーリーウィルソンは上部の人間性は良く描写されているが、その奥にある人間性は注意してみないとわからない。

それは宗教に対する注意力と、男気とも言うべき献身性に現れる。
パキスタンの大統領に対面した際に、酒を飲まないイスラームの彼らに対し、酒を要求してしまったシーンがあったが、その後飄々としていた表情から一転、真面目な表情で外交する議員に戻る。
その後の計画の進め方においても宗教への配慮を見せるようになる。
そして計画がうまく実行され、アフガニスタンに5億円の支援ができた後も追加で教育の支援を申し出る。
武器の持ち方だけでなく、しっかりと戦争後の支援をするべきだというこの献身的な責任感が彼の本当の一面である。

そして、彼の残した教育支援という課題が、後々に9.11のような大きな火種を生むこととなるとは、誰も知らなかったという風刺的な要素もある作品だ。

短めの映画で、これだけの内容と主人公の描写ができている映画はやっぱりみていて面白い。
ヤマグチさん

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