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救命士の映画mystyleのレビュー・感想・評価

救命士(1999年製作の映画)
2.3
『救命士:それは人を救うのではなく、死を見届ける者』

ドラマ、サスペンス、暗い

 今回の話は、命を救うはずの救命士の、死を見届けることへのやるせなさ、絶望、葛藤という負の側面に焦点を当てた映画。監督は名匠マーティン・スコセッシ。主演は哀愁漂う役をやらせたら右に出るものがいない、ニコラス・ケイジ。めずらしいタッグです。


 “患者を助けられない”というネガティブな側面にフォーカスした映画。本作の救命士は、救世主としてではなく死神として描かれている。その中で、主人公がやつれていく様を描いている。設定が無法地帯の救命士、そのため次から次に犯罪、自殺、心肺停止、etc、、が起こっていく。そんな現状の中で、主人公は「救えない」「死を見届けるだけ」というネガティブな感情に囚われ、「助けた命」に目が向かなくなる。特に印象的なのは、双子の赤ちゃん、片方が死んでしまう。相方の救命士は「助けた!!」と喜ぶが、主人公は「救えなかった」と落ち込む。


 救命士、医者、看護師、カウンセラー等はメンタルが強くないと喰われてしまうのだなと改めて思わされた。ネガティブな事(死など)に直面する現場で、いかにポジティブな事(助けた、奇跡)を心の灯火にできるか、それが心の支えになるのだろう。

 もうひとつの見方としては、救命士不足で辞めたくても辞められない主人公。しかしストレスは溜まっていく。爆発寸前。こんな経験は、社会で働く人にもあるのではないでしょうか。仕事のストレス、うつ、過労死など、そんな社会問題を踏まえた見方をするのも良いかもしれません。という事で、お終い。ご愛読ありがとうございました。


 
 
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