百々子

男と女の百々子のレビュー・感想・評価

男と女(1966年製作の映画)
4.8
【反則って思うくらいロマンチック、50年前とは思えない程色褪せない】

ひさしぶりに、はあ、素晴らしいもの見たなあ…ってため息が漏れた。
何もかもが完璧なまでに美しくて緻密。
景色も音楽も映像の使い方も
ストーリーも主演の二人も
何もかもがあまりに綺麗すぎて、
当時この映画を見た世界中の人はパリに熱狂しただろうなあと想像する。自然と憧れてしまう。
50年後の今見ても古臭さを一切感じないほど洗練されてる。

心理描写がとても細かい。
手の動き、ちょっとした表情、映像がカラーなのかセピアなのか、
それらすべてに心の動きが込められてる。
主演の二人はとても美男美女。
アンヌがあんまりにも綺麗で、今まで見た女優さんで一番かもしれない!
そんな二人の心の動きと駆け引き。
惹かれては距離を置き、追って追われながら少しずつ距離が縮まっていく。

いい映画は大抵音楽が素晴らしいけど、この作品も例に漏れず。
あの有名なダバダバダ、はもちろん、
バーデンポーウェルのサラヴァが登場してるなんて知らなかった。
美しい映像を、音楽がまた一層引き立てる。
(過去の愛の思い出がボサノヴァ、なんて美しすぎる)

それでも、ただ美しいだけの映画ではない。
ひとつの重要なテーマがある。
《最愛の人を失って、
その人はまだ心の中で生きていて、
どうしたら他の人を愛せるのか。》
今の現実を一生懸命生きているはずなのに、
思い出の中を生きてしまう瞬間がある
その葛藤。

別の愛を見つけても二人は指輪を嵌め続けてる。
人の心とか愛は決して単純なものではなくて、複雑だからこそ味わいがあるんだなあ。
現実には無さそうなくらい綺麗な映画だけど、登場人物の人間らしさも垣間見えたりする。

わたしにとっては理想の映画でした。
心を豊かにして、日常を彩ってくれる映画。

古い映画だからなんて思わずに、是非一度は見てみてほしい!
百々子

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