とっとこハゲ太郎

男と女のとっとこハゲ太郎のレビュー・感想・評価

男と女(1966年製作の映画)
3.3
これが、正統派フレンチ・ラブ・ストーリーというものだろうか。元夫、元妻を悲しい経緯で亡くした2人の子持ちの美男美女が、偶然に出会い、次第に互いを恋人としてみるようになり、やがて結ばれていく、という過程を、誰しも一度は聞いたことがあるはずのあの曲とともに描いていく作品である。見終わったあと、何だかほっとするような、救われたような、そんな気分になった。近頃見たラブストーリーが、ややこしい関係が生まれたり、痴話喧嘩になるものばかりだったので、なおさらそう感じた。

にしても、フランスの男はこと恋愛に関しては「すごいなぁ」と感心してしまう。この間見たロジェ・ヴァディム版の「危険な関係」のバルモンもそうだが、一度これだと思った女を見つけてからの行動力が素晴らしい。疲れているだろうラリーの直後にも関わらず、電報を受け取るやモナコからパリ、ドーヴィルとフランスを大横断してアンヌに一目散に会いに行くなんて滅多にできる芸当じゃない。「ようやるわ」と皮肉ではなく誉め言葉の意味でつぶやいた。

ベッドシーンもなかなか興味深いものだった。(もちろんエロの意味もあるっちゃあるが)フランスの映画は、裸やバスローブを着た男女を描くことで行為や事後を示唆する作品は多いが、基本的に「ヤってる最中」を描くのは珍しい。当時の観客にとっても新鮮だったのではないだろうか。

やっと一つになった後、ふっと過去の愛する人を思い出し葛藤するも、最後は無事に結ばれることができて良かった。どうかお幸せに…