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ドゥランダル作戦

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『ドゥランダル作戦』に投稿された感想・評価

kuu
3.8
『ドゥランダル作戦』
原題または英題 Dhurandhar
製作年 2025年。上映時間 206分。
映倫区分 R15+ 製作国 インド

ムンバイ同時多発テロなど実際に起こったテロ事件や実在した人物をベースに、国家やスパイ、テロリスト、裏社会の思惑が交錯する中で繰り広げられる戦いを描いたインド製スパイアクション。
   
アディティヤ・ダール監督の『ドゥランダル作戦』は、上映時間3時間半超の巨躯ながら、体内時計を狂わせる速度で疾走するスパイノワールでした。従来のボリウッド特有の歌って踊る様式美を排して、冷徹なバイオレンスと心理戦へ舵を切っていた。実際のハイジャックやテロという未解決の痛みを起点に、フィクションの力で歴史の『もしも…』をトレースする構造が、圧倒的なリアリズムを醸し出していました。
 
潜入工作員ハムザを演じたランヴィール・シンの二面性は今作品を引っ張る要で、陽気なスターオーラを封印し、異郷の泥に塗れる彼の眼光には野生動物の凄みがありました。対するギャングの首領演じるアクシャイ・カンナの、氷のよなとこと突発的な狂気の対比も凄まじく、さらにR・マーダヴァンやサンジャイ・ダットなど、俳優たちが織り成す群像劇は、ただのアクション映画の枠組みを凌駕していました。
 
音楽演出の方はモダニズムで、血飛沫が舞う凄惨なシーンにあえてレトロなポップソングを重ねる手法が取られていて、この音と映像の非対称なマリアージュが、日常の裏で行われる殺戮の異常性を際立たせ、倫理観を揺さぶってくる。さらに実際のニュース映像を劇中に融解させることで、エンターテインメントが突如として現実の傷口へ接続される緊張感を生み出していた。
 
背景にあるのは単純な二国間対立じゃなく、カラチの暗部に巣食う複雑なパワーゲーム。独自のアイデンティティを持つ部族、地下組織、政治の思惑が三つ巴となる狂ったエコシステムに、偽りの仮面を被った主人公が放り込まれる。この構造は、単純な勧善懲悪のカタルシスを許さない。目撃するのは、大義名分のもとで巨大な暴力の渦に自らを最適化させていく、人間の変貌プロセスそのもの。
 
今作品は、他者のゲームに同化する恐怖を突きつけてきますし、潜入捜査は本質的に自己の解体と云える。標的を欺くために完璧な悪を演じ続けるとき、演じられた悪はもはや演技ではなく冷徹な現実となる。システムが冷酷な最適解を求める一方で、現場の人間は自己の輪郭を失っていくというパラドックスが、痛烈な実存的問いとして浮かび上がります。
 
今作品が描くナショナリズムは、現代のエコーチェンバー現象、意見の極端化にも通じる危うさを秘め、劇薬を内包しつつも暴力を美化しきらず、むしろその虚無感を徹底的に描き出すことで、映画は正義の危うさを静かに露呈させてみせてます。観後に残るのは、興奮だけじななく、大義という怪物のために個人がどれほどの泥水をすすり続けなければならないのかって云う、重く割り切れない余韻です。。。


IC814便ハイジャック事件、インド国会議事堂襲撃、ムンバイ同時多発テロと、相次ぐテロ事件に頭を悩ませるインド政府は、報復と再発防止のため極秘裏に「ドゥランダル作戦」を始動させる。作戦の任務は、パキスタン最大の都市カラチでもっとも危険と言われるリヤリ地区のギャング組織に潜入し、テロ計画の兆候をつかむというもの。その危険な極秘任務を託されたのは、死刑囚のハムザだった。彼はすべての過去と名前を捨て、身分を偽り裏社会へと身を投じ、抗争に巻き込まれながらも組織の中枢へと迫っていく。その先でハムザが見たのは、国家をも揺るがす巨大な陰謀だった。

「ガリーボーイ」「パドマーワト 女神の誕生」などで知られるボリウッドのトップスター、ランビール・シンが主演を務め、「URI サージカル・ストライク」のアディティヤ・ダール監督がメガホンをとった。
ぶみ
3.5
国家存亡をかけた極秘作戦に送り込まれたのは、死刑囚ただ一人。
これはフィクションか、それとも現実か。

アディティア・ダール監督、ランヴィール・シン主演による実話をベースとしたインド製作のアクション。
パキスタンのギャング組織に潜入し、テロの情報を掴もうとする主人公の姿を描く。
主人公となるハムザ・アリ・マザーリーをシン、インドのチャウドリ・アスラム警視をサンジャイ・ダット、ギャング組織のトップであるレヘマーン・バローチをアクシャイ・カンナーが演じているほか、R.マーダヴァン、サーラー・アルジュン、ラーケーシュ・ベーディー、アルジュン・ラームパール等が登場。
物語は、かつての刑事ドラマ『西部警察』で渡哲也演じる大門がかけてそうなティアドロップ型のサングラスをかけた男性が、インディアン航空の飛行機を見つめながら佇む姿でスタートした後、第一章の文字が入り、1999年12月30日のカンダハル空港が舞台となるため、実話ベースであることがわかるオープニングに。
そこに外務大臣が到着、先ほどの男性はインドの情報局長で、機内に入ると客室のブラインドが下ろされ、目隠しされた多くの乗客がいる状況であり、ハイジャック事件の交渉にあたるという緊迫した状況となっている。
次には、2001年11月23日、今度は先ほどのハイジャック犯が主導するテロ組織がニューデリーにある国会議事堂に侵入、自爆するシーンでは派手に肉片が飛び散るため、インド映画らしからぬ容赦のない演出に度肝を抜かれること請け合い。
以降、2004年、パキスタンに入国した主人公のハムザが、ジュース店で働き出す様子を皮切りに、リヤリ地区にいるパキスタン最狂と恐れられているギャング組織に徐々に入り込んでいく様を中心として章立てで展開、ガス爆発、人を引きずるバイク、熱々の釜へ人を投入、そしてバイクチェイス等々、見応えあるアクションが満載で飽きることはなかったところ。
インド作品らしく、暑さが伝わってくる空気感に、髭の男たちばかり登場と、かなり暑苦しい映像となっている中、紅一点と言っても過言ではないヒロイン役であるアルジュン演じるジャマリの美しさに癒された次第。
上映開始から二時間程度経ち、そんなハイカロリーな状況にお腹いっぱいになってきた頃、10分のインターミッションが入ったのは、クールダウンと頭の中を整理するには丁度良く、ナイスタイミング。
その後も、2008年のムンバイ同時多発テロのシーンが、実際の音声や映像を交えて映し出されたり、勢力関係がコロコロ変わったりと、リアリティを持たせたスパイものとして楽しめる仕上がりに。
クルマ好きの視点からすると、アスラム警視が乗っていたのが、日本では100系のトヨタ・ランドクルーザーシグナスとして発売されていた白色のボディカラーが印象的な防弾ガラス仕様のレクサス・LXだったのを筆頭に、同じく60系のランドクルーザー、三菱・パジェロにトライトン等、多くの日本車が登場していたのは見逃せないポイント。
インターミッションも含めると、216分という長尺なのに、主人公の背景が今ひとつ語られずと、もう少し、人物描写に時間を割いても良いかなとは思ったものの、硬派なスパイ・アクションとして見応え十分であり、前述のように、最後まで飽きずに楽しめたとともに、エンドロールの終わりと曲の終わりが合っておらず、最後が静寂になってしまったので、そこは合わせて欲しかったのに加え、酷暑が続く日々の中、スクリーンへの往復時間も合わせ、半日涼しい時間を過ごせると思えば、コストパフォーマンスがかなり良い一作。

ドゥランダルに乾杯。
山D
4.0
⚠️注意⚠️
めちゃくちゃ面白いんだけど、本当に本当に本当にいい所で終わるのよね。続編の日本公開は決まっているみたいだけど、具体的な日時は決まっていないみたいだし、悪名高いTWINのことだから、公開されない可能性もあるから注意してね。

過剰でスタイリッシュなアクション。過剰でスタイリッシュなサウンドトラック。 そして壮大なストーリー展開。 ボリウッド特有の顔ドアップとスローモーション、風を多用した演出。
ほんとに最高!アドレナリン出まくり!今日眠れないよ!

さすがに4時間は長いけれど、途中でちゃんとインターミッションが挟まるから、最後まで集中力を切らさずに楽しむことができた。

単なるエンタメ映画に終始せず、その根底に印パ戦争やパキスタン国内における民族浄化問題といった、極めてシリアスで重厚な社会派テーマがしっかりと横たわっている点も見事。
若干、最近のボリウッドの政治アクション大作によく見られる、あの強烈なナショナリズム的な危うさを感じるが、歴史の傷跡や現代の緊迫した情勢をシナリオに組み込むことで、作品全体に深い説得力と緊張感が生まれている。

派手な演出で観客を沸かせながらも、描くべき現実からは目を背けない。歴史、政局、アクション、どれもが絶妙なバランスで混ざりあったレベルの高いアクション映画だった。

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