ゴート

お引越しのゴートのレビュー・感想・評価

お引越し(1993年製作の映画)
4.8
田畑智子でなければ成り立たない映画。

相米監督はどうしてここまで、子供の視点からみた世界を、リアリティをもって描けるのか。
自分の子供のときの感覚がカメラの視界を通して呼び覚まされて、クラクラした。

中盤の弟カップルをはさんでの夫婦の喧嘩シーンは、カメラワークを含めて、満点。
シーンを締める鮮血には鳥肌がたった。これはプロット上では生まれない表現だと思う。

終盤、それまでの日常シーンから一転、主人公レンコが、この世かあの世か区別のつかない場所を1人歩いていくシークエンスは、物語の予定調和を超えていて、良い意味で狂っていた。
レンコがたどり着いた琵琶湖のシーンはもう、なんと形容したらよいのか。
神様が本当に映り込んでしまうんじゃないかと思うくらいに、怖くて、美しい。

中井貴一演じる父親とのバイクのシーンは、泣いた。
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