田畑智子でなければ成り立たない映画。
相米監督はどうしてここまで、子供の視点からみた世界を、リアリティをもって描けるのか。
自分の子供のときの感覚がカメラの視界を通して呼び覚まされて、クラクラした。
中盤の弟カップルをはさんでの夫婦の喧嘩シーンは、カメラワークを含めて、満点。
シーンを締める鮮血には鳥肌がたった。これはプロット上では生まれない表現だと思う。
終盤、それまでの日常シーンから一転、主人公レンコが、この世かあの世か区別のつかない場所を1人歩いていくシークエンスは、物語の予定調和を超えていて、良い意味で狂っていた。
レンコがたどり着いた琵琶湖のシーンはもう、なんと形容したらよいのか。
神様が本当に映り込んでしまうんじゃないかと思うくらいに、怖くて、美しい。
中井貴一演じる父親とのバイクのシーンは、泣いた。