徳田久嗣

独裁者の徳田久嗣のレビュー・感想・評価

独裁者(1940年製作の映画)
5.0
ナチ3連発その③

ナチ映画最高峰…というより、映画を辿る際には避けて通れない一本。

公開は1940年でナチスの全盛期、ホロコーストの実態が世に出ていない段階。
このタイミングで、ハリウッドの超大物がなんともリスキーなテーマに取り組むこの心意気。

リアルタイムのナチスにコメディでアプローチする…という超弩級の手腕を成功させながら、
ラストにはかの有名な「演説」が用意されている。
散々笑わせておいてのこの「演説」は、例えばそこいらの文化人が世相を斬った類ではなく、
ひとりの人間がマジ切れしていることがビンビンに伝わる。
でも言ってることは愛、だ。

技法的には、この「演説」の最中に演者がカメラを見つめるところをお見逃しなく。
カメラと目があった瞬間、「床屋」は「チャップリン」に変わる…という演出だ。
徳田久嗣

徳田久嗣