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クルージングのnagarebosiのレビュー・感想・評価

クルージング(1980年製作の映画)
4.4
いつか呑まれてしまうのではないかという恐怖…。

確かに問題作だし、現在も賛否渦巻く怪作でした。
フリードキン監督の、感情を排し突き放したように世界観をリアルに抉りだす作りは好み。主人公が徐々に染まっていっても感情移入しづらいけど、それこそが監督の狙いなのか。
パチーノさんのマッチョとパーマが違和感あるなあ。病んでいく演技はさすがだけど。
ミステリーというより主人公をじっくり描いて精神的な闇の部分を、観ている側の観客にも共感させていく、どちらかといえば人間ドラマに近い演出。
かなりダイレクトな描写 (とはいえボカシがかかることはないけど) がノーマルな私には普通に引いてしまったけど、遠慮しない演出だから作品世界をきちんと描けたのでしょう。ヒリヒリする、というか、ザラザラする、独特な作りは個人的にかなり好きです。

ラストのあれは呑まれてしまった…、そういう解釈なのか?はっきりさせないで考えさせるのも、この監督独特で好き。

まさか、そっちの役柄でジェームズ・レマーが出てたんだ!