マーセルいいひと

ブラッドシンプル ザ・スリラーのマーセルいいひとのレビュー・感想・評価

4.4
誰の思惑もうまくいかないまま事態が空回りしていくというプロットは、のちの作品群にも通ずるコーエン兄弟デビュー作。

コーエン兄弟作品に時折見られる、日本人にはわかりづらいアメリカ社会独特のなにかをなにかになぞらえて皮肉っていたりすると解釈できるような含意が、おもしろいのにどこか作品の100%を楽しめてるのか不安にさせるときがあって自分は苦手だったんですが、今作はそういった受け手の教養を問うような部分薄めで、シンプルにセンスの良さが際立ってます。
そうだよね、そもそもそういうこと抜きにベーシックな映画的センスがすば抜けてるんだよねと再確認。

ラストのスリラー展開は、センスの良さにおいてはあまりこれ以上のものが思い当たらないぐらいで、ハラハラするべきなのに演出良すぎてニヤつくという。にくい。すごい。