高橋幸大

狼よさらばの高橋幸大のレビュー・感想・評価

狼よさらば(1974年製作の映画)
4.0
事件はただの要因で、ラストカットで分かる通り、ブロンソンの目的は復讐じゃないというところがポイント。もし復讐がテーマならストーリーとして成り立っていない。だってそもそも主人公は犯人探しを警察に任せており、自らなんら行動をしていない。人口が多いニューヨークってだけで諦めてるのなら映画にする必要もない。現代の僕がこの映画にひかれたのは悪党を含め、社会のシステムの歪みにのまれる人々の姿が、(当時は知らないが)今の作品と比べて辛気臭い社会問題啓発系の映画とならずに優れたエンターテイメントとして写し出されている点。さらに我々社会的動物には自由意思みたいなスピみたいなやつはなく、因子によってすべての結果はあらかじめ出来上がっていると思わせてくれた点。あと刑事の膿が詰まったような口臭が画面を飛び越えて僕の鼻腔の奥で匂った点。
高橋幸大

高橋幸大