もか

マイレージ、マイライフのもかのネタバレレビュー・内容・結末

マイレージ、マイライフ(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

85点

サンキュー・スモーキング、JUNOに続けて拝見。

デビュー作からピークを迎えているのではないかと思うくらい、またもや素晴らしい作品だった。

彼の首にされた友達から送られてきた歌を聞き、この映画を作ってしまったのは、あり得ない。

宙に浮いているようだ
というような歌詞から、飛行機に乗って宙に浮いている男が首を言い渡す話をスマートに、人間的に描かれている。

冷感な男だったけど、彼は1番人間らしい男だった。

話としては、
人を首にする男、かと思えば、マイレージを貯めるという事に生き甲斐を感じている。

整頓されたスマートなキャリーケースに、必要な物しか詰めない。たまに公演に出てみたり、かと思えば、首を言い渡しに社外へ行き、そしてホテルに泊まり、そこで同じ境遇の女性を発見し、体の関係を持ってしまう。

いつもは、これでお別れと割り切っていたはずなのに、少し感情が入ってしまってまた会ってしまったりする。

さらには、バカ真面目新入社員に振り回されたり、妹の結婚だなんなので、色んなことがくるってきてしまう。

オンラインが発達し、リモートで首を言い渡す仕事に変えられ、なんだかんだそれはそれで務まっていく。

会社としても、渡航代が発生しないし、
リモートが始まるあたりが、今の時代を先取りしていた。

彼のマイレージ人生が終わりを迎える頃、
地に根を張ろう、と考えもしなかったことを思う。そして、"彼女と一緒になりたい"と。

マイレージを貯める事も、1万ポイントを達成すると世界で6人しか持っていないゴールドカード
をゲットできる、ということが彼の生き甲斐であったのに、、
マイレージを貯めることさえせずに、彼女の家へ突っ走る。
が、そこにいたのは、子どもと夫と暮らす彼女の姿。

彼女こそ、地に根を張りながらも、悠々と宙に舞っていたのだ。

そして、彼はまた、宙に浮く生活に戻っていく。
彼にとっての幸せの姿に戻っていくだけなのに、
なんとも切ない。

自分の理想と思いつきを、社会と合致させていくのは、そりゃ上手くいかないもんだな、と感じた。
もか

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