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インベージョンのnorisのレビュー・感想・評価

インベージョン(2007年製作の映画)
3.5
繭に包まれた感染者の描写まで来て気づかされるように、本作は「盗まれた町」の4度目の映画化である。#ニコールキッドマン がおざなりな精神科医なのはそのためだ。

乗っ取り過程が繭に包まれていることと、乗っ取られた後に無表情になるところは過去作と同じなのだが、ここでは侵略者はDNAを書き換えるウィルスということなので、乗っ取りはコピー人間を作るという形ではない(最後に明かされるが、ワクチンを打つことで元の人間に戻ることもできる。乗っ取られた間の記憶はないが)。

このため侵略は感染によって進行していくので、それがあからさまになる中盤以降はゲロが飛び交う汚いアクションシーンが続く。キッドマンも元夫のゲロを浴びて感染するが、乗っ取りはレム睡眠中に行われるので、感染しても寝なければ無問題という都合の良い設定になっている。

午後ローで見たので8分ほどカットされているのだが、そのためだけではなかろう急展開と謎のシーンの続出があり、終盤になっても一向に決着がつかずハラハラしたが、あっという間にハッピーエンドになった。火だるまの車でビルの地下駐車場を走り抜けるシーンはかなりぶっ飛んでいる。実は後半はウォシャウスキー兄弟が書き直して撮り直しているのである。

ユニークなのは、感染が世界規模で広がるにつれ、世界各地の紛争が次々と解決して平和が実現していくことだ。これは侵略によって人間が一つの存在になるためとされる(人類補完計画みたいなもんか)。もうそれならそれでいいか、と眠くてたまらないキッドマンの心が一瞬動くところが面白い。

キッドマンの患者ウェンディ(途中で免疫があるとわかるのだが、話から消える)を演じるヴェロニカ・カートライトという女優は78年版リメイク作の主要人物の一人だった(役に立たない豆知識)。
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